🕊 平和への願い 🕊 ~新編集版~ 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』にリスペクトを込めて
 そういえば、彼女は契約書や領収書などの大事な書類を台所のどこかにしまっていた。
「こんなところに大事なものがあるとは誰も思わないでしょ」というのが彼女の言い分だった。

 そうだ、そうに違いない、
 思い立ったらじっとしてはいられず、片っ端から引き出しを開けて書類を探した。
 しかし、それらしきものはなかった。

 とすると棚か?
 下の棚を探したが、調理道具があるだけでそれ以外のものは見つからなかった。

 あとは上の棚だけになった。
 神頼みをして左端の扉を開けた。
 2段になっていたが、下には缶詰が、上には即席?があるだけだった。

 中央の扉を開けた。
 ここにもなかった。
 未使用の食器をしまった箱がいくつかあるだけだった。

 残るは右端の棚だけになった。
 恐る恐る扉を開けると、ここも二段になっていた。
 下にはアルミホイルや食品包装用ラップフィルム、フリーザーバッグなどがびっしりと隙間なく並べられていた。
 上も同じようにキッチンペーパーやコーヒーフィルターが上から下までびっしりと積み重ねられていた。
 まるで壁を作るように。
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