🕊 平和への願い 🕊 ~新編集版~ 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』にリスペクトを込めて
 誹謗中傷だけでなく、実際に被害を受けている店も多いらしい。
 ロシア料理店やロシア食品を専門に扱う店に無言電話をかけてくる人がいるようだし、看板を壊された店もあるらしい。
 ロシアというだけでひとくくりにされているのだ。

 つい先日、フィットネスクラブで知り合った女性から言われたことがある。
「プーチンの支持率がもの凄く高いらしいけど、ロシア人って独裁者が好きなの?」

 これには開いた口が(ふさ)がらなかった。
 しかし、よく考えてみればもっともな意見だった。
 ウクライナ人を殺せと命じている男を国民の多くが支持しているのだ。
 例え報道統制や言論統制があったとしても異常だと思われるのは致し方のないことだった。
 ロシア人は知能の低い愚か者だと思われても仕方ないのだ。

 反論したかったが、それが意味のないことだというのはよくわかっていた。
 ロシア人を(かば)えば庇うほど、ロシア愛国者=プーチン支持者と思われるからだ。
 平和を愛する人が多いということを声を大にして言ったとしても、ならどうして戦争を止めないのか、と切り返されてしまうのは目に見えている。

 しかし、その指摘を否定することはできなかった。
 本来なら反戦運動が盛り上がらなければいけないのだ。
 暴走するリーダーを国民が止めなければならないのだ。
 けれども、そうはなっていない。
 弾圧を恐れる国民は声を潜め、行動に出ようとしない。

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