【完結】私に許嫁なんていません! 結婚なんてお断り致します!


 そう言われると、なんだか断れなくて結局「わかりました」と返事をしてしまった。

「ありがとうございます、リオル様」

 ぎゅっと抱き寄せられて、抱きしめられた。

「っ……!?」

 でもミツキさんの身体は、確かに武道や空手などをやっているだけあって、ガッチリしていた。
 なんだか暖かく感じたのは、ミツキさんには内緒にしよう……。

「あ、あの、ミツキさん……?」

「いい香りですね、リオル様」

「へっ……!?」

 急に褒められるので、ドキッとしてしまった。

「これはシャンプーの香りですか?」

「た……多分、そうだと思います」

 シャンプーの香りで、こんなに褒められるとは思ってなかったな。 
 いつも使っているシャンプーの香り、そんなに良い香りなのかな?

「この香り、すごく好きですよ」

「え?……あ、ありがとうございます」

 妙にドキドキしてしまった私は、「すぐにお茶淹れ直して来ます!」とキッチンの方に走っていく。

「はあ……」

 し、心臓がもたない……!

 急に抱きしめてきたりシャンプーの香りを褒めてきたりするから、ビックリする。
 これも私と結婚するためにわざとやっているのではないか?なんていう考えを持ったりしているが、彼の本心はどうなのだろうか……。

「ダメダメ……」

 結婚するつもりはないって言ったんだから、それを貫き通すのよ。
 私はお茶を淹れ直しながら考えた。どうすれば結婚をしなくて済むのか。
 そして私は彼に嫌われることで、この結婚を回避しようと考えた。
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