【完結】私に許嫁なんていません! 結婚なんてお断り致します!


 それは想像を絶する結末になってしまった。

「歌が上手いですね、リオル様」

 な、な、なんでこうなるの……?! なんで……!?

「さすがです」 

 私が歌が音痴でミツキさんから嫌われるはずだったのに、まさかの私よりミツキさんの方が歌が下手だということがわかってしまった。
 私はめちゃくちゃ音痴なのにも関わらず、それを上回る音痴がここにいたとは……。

「そ、そうですか?」

「僕も本当に歌が苦手でして。武道や空手など身体を使うことは得意なのですが、どうも歌うことだけは苦手でして……」

 ウソでしょ……。私より音痴が目の前にいるなんて、誰が想像しただろうか。
 まさかの結末に、嫌われる作戦が失敗してしまった。 どうすればよいのだろうか。
 嫌われ作戦が、やり直しになってしまった。 ここからどうやって嫌われればいいんだろうか。

 まだよ、まだ何か作戦があるはずだ。……よし、考えよう。
 結局、嫌われ作戦が振り出しに戻ってしまったので、普通のデートになってしまった。
 二時間ほどカラオケに滞在したが、カラオケを出た後はご飯を食べようということになり、ファーストフード店に入った。

「このテリヤキバーガーセットと、BLTバーガーのセットを一つずつください」

「お飲み物はどうなさいますか?」

「じゃあオレンジジュース二つで」

「かしこまりました」

 会計を済ませて席に戻ると、ミツキさんが「ありがとうございます」と微笑む。
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