【完結】私に許嫁なんていません! 結婚なんてお断り致します!


「……マジか」

 この人、とんでもない婚約者だった……。歌があんなに下手なのに、頭いいなんて……。

「……無理だって」

「え?」

「あ、出来たみたいですね」

 ベルが鳴ったのでバーガーを取りに行く。

「いただきます」

「いただきます」

 出来たてのバーガーにかじりつくと、ミツキさんの唇にテリヤキソースが付いていて、ついクスッと笑ってしまった。

「なんですか?リオル様」

「ここ、付いてますよ?」

 唇を指差すと、ミツキさんは恥ずかしそうに「付いてましたか? 恥ずかしいですね」と微笑んだ。
 なんかその様子がかわいく見えて、私も思わずクスリと笑ってしまった。

「リオル様?」

「すみません、なんかかわいくて」

 ……え? 今私、なんて言った?
 かわいいって言ったよね……!?

「リオル様のが、かわいいですよ」

「えっ?」

「リオル様といると、僕は楽しいですよ」

 ーーードキッ。

 私、なんでこんなにドキドキしてるんだろう?

「……冗談は、やめてください」

 と呟いたつもりだったが、「冗談なんかじゃありません。本気で思ってますよ」と私を見つめる。

「……た、食べましょうっ」

「はい」

 あれ……なんか私、おかしい? さっきからドキドキしてるし。
 なんかいまいち、ミツキさんの顔を見ることが出来ない。

「リオル様?」

 ダメだ、私はさっきからミツキさんのペースに流されている。
 嫌われ作戦を取るつもりだったのに……。
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