【完結】私に許嫁なんていません! 結婚なんてお断り致します!
「リオル様、どうされましたか? 体調でも悪いですか?」
そんなことを頭の思考回路でぐるぐると回っているうちに、ミツキさんが私の顔をのぞき込んでいた。
「あ、あのっ……」
「はい」
「すみません、冗談を言うのはやめてください。 私、婚約者がいるなんて話聞いてませんし……それに私、結婚するつもりもないですから」
私がどこの人かもわからない人と結婚するとか、無理っ!
相手のことをよく知らないのに結婚なんて……ありえないっ!
「でも僕たちは、いずれ結婚することになるかと思いますよ」
「えっ……?」
ミツキさんは私の頬に触れてくる。
「な、なんですか……っ」
ミツキさんのその真っ直ぐな瞳に見つめられると、急にドキドキしてしまう。
「リオル様と僕はいずれ結婚する運命なのです。ですから、この運命に抗うことなどは出来ないのですよ、リオル様」
真剣な眼差しを向けられた私は、何も言い返すことが出来なかった。
運命には抗うことなど出来ないと言われたら、運命を抗う方法をなぜ探したくなってしまう。
「僕はリオル様と結婚する日を夢見て、今日まで生きてきました」
ミツキさんからそう言われて、私は「……え?」とミツキさんを見た。
「五歳の時、リオル様が僕の許嫁になった時から、ずっとです」
え?ご、五歳……? まさか私たち、五歳の頃に許嫁になったの……!?
ウソでしょ……? 私が今十八だから、十三年も待ったってことっ!?