【完結】私に許嫁なんていません! 結婚なんてお断り致します!


「とりあえず、それでなんとか結婚を諦めてもらうように説得するしかないよ」

「彼氏のフリなら、彼氏っぽいことしねえとすぐにウソだってバレるぞ?」

「そ、それはそうだね……どうしよう」

 やっぱり手をつなぐしかないかな?

「じゃあさ……」

 シズルくんが私に近付いてきて、私の頬に触れる。

「え……?」

「やっぱこうするしかないだろ」

 その瞬間に、シズルくんの唇が私の顔に近付いてくる。
 そしてシズルくんの唇が、私の唇にそっと触れたのだった。

「これで彼氏のフリ、問題ないだろ?」

「えっと……っ」

 今のって……。頭ではわかっている。今シズルくんに何をされたのか。

「えっ? リオル、顔赤いけど大丈夫か?」

 シズルくんが私の顔を除きこんでくる。

「あ、やっ……ごめんなさい、私……」

 私のこの反応を見れば、シズルくんだって理解したはすだ。

「もしかして……初めてだった?」

「あ……うん」

「……なんかごめんな」

 まさかミツキくん以外の人にファーストキスを奪われるなんて……予想外だった。

「ううん、違うの……! ちょっと、ビックリしただけだから、大丈夫」

「……かわいいな、リオル」

「え……?」

 シズルくんは「このまま、アイツからお前を奪いたくなる」と見つめられ、何も言えなくなった。

「か、からかわないで……」

「からかってない。……俺本気で、奪いたいと思ってるんだけど」
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