【完結】私に許嫁なんていません! 結婚なんてお断り致します!
「シズルくん、あの……」
シズルくんに視線を向けると、シズルくんは「悪いけど、俺はコイツのこと渡すつもりないから」と真剣な顔をしていた。
「でもあなたは彼氏であって、婚約者ではありませんよね?」
「だから? 婚約なんて婚姻届出さなきゃいつでも破棄出来るだろ?」
シズルくんとミツキくんの攻防戦が続くから、私はただ黙り込むしかなかった。
「いいえ、僕は婚約破棄をするつもりはありません」
「それはお前の考えだろ? コイツの意見は聞いたのかよ」
「リオル様だって、僕と結婚したいと思ってくれてるはずです」
な、何なんだろう、この状況は……。まるで私を取り合うかのようなこの状況に、私はおどおどするしかない。
「リオルはお前と結婚する気はないって言ってるけど? なあ、リオル?」
「えっ!? あ、や、それは……!」
シズルくんが本気になったことがすぐにわかった。
「いえ、僕と結婚してくださいますよね?リオル様」
「えっ!? えっと……!」
あたふたする私に、シズルくんは「おい、コイツを困らせるな」とミツキくんに向かって言う。
「困らせているのはあなたの方でしょう」
「はっ?」
シズルくんが眉間にシワを寄せる。
「や、やめて二人とも! もういいよ!」
「良くないだろうが。お前が結婚を白紙にしたいってことをちゃんと伝えないと、伝わらないだろ」
「シズルくん、気持ちは嬉しいけど……もう大丈夫だよ」
「リオル? お前……まさか」