【完結】私に許嫁なんていません! 結婚なんてお断り致します!
もうこうなったら、結婚は出来ないことを伝えないとならない。
「ミツキくん」
私はシズルくんの腕の中から離れ、ミツキくんに近づく。
「はい」
「私、やっぱりあなたとは結婚出来ない。 ごめんなさい」
私は「あなたの優しさは、とても嬉しいけど……でもやっぱり、結婚は出来ないです。 ごめんなさい」とミツキくんに頭を下げた。
「……リオル様、顔を上げてください」
「えっ……?」
「あなたの気持ちはわかりました。……ですが、もっと僕のことを知ってから結婚するかどうかを判断してくださいませんか?」
「……でも、私は」
ミツキくんに「僕のことを知った上で結婚出来ないと言うなら、その時はキッパリと諦めます。 なのでまだ僕のことをちゃんと知るまでは、僕にもチャンスはありますよね?」と言われてしまう。
「……ミツキくん」
どうしてミツキくんはこんなに優しいのだろうか。 結婚出来ないって言っても、諦めたくないみたいで……。
僕にチャンスをくださいなんて、よく言えるなって思った。
「リオル様に彼氏がいても今は構いません。 僕があの方からあなたを奪い取ってみせますので、覚悟しておいてください」
「はっ?」
「えっ?」
「リオル様、また連絡しますね」
ミツキくんは私たちの前から背を向けて立ち去ってしまった。
「……ええっ」
「あれは俺への宣戦布告ってことだな」
と、シズルくんは微笑んでいる。