死にたがりの姫に捧ぐ、永遠の愛。

「私、事故に遭ったの。
 今日、退院したんだけど。

 一年前の高校1年生の夏以降の
 記憶がなくなった。」


静かに聞いてくれてる
男の子の顔を見る。


「自分の生きてきた今までの
 一年間の記憶が無いって、
 結構不安で。こわくて。

 私、一人ぼっちだし、もう
 生きるのやめたいって思って。」


「...そうか。」


__なんで、キミが辛そうな表情(かお)してるの?


静かな声で相槌を打った彼は、
苦しそうな色を浮かべていた。


「...お前、名前は?」


...?なんで急に、名前?


「...闇宵(やみよい) 水晶(すいしょう)。」


「...水晶。俺はおまえに死んで欲しくない。」


「え...?」


あ、知らない人でも、
目の前で死なれたら、罪悪感が湧く
とかそういうこと、かな... 。


「なぁ、俺じゃ、
 おまえの生きる理由にはなれねぇ?」


「...っ。」


...なんでそんな事言うの?


全然何考えてんのか分かんないのに。


私を見つめる瞳は真剣で。
どこまでもまっすぐで。


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