隠し事がある方がドキドキするでしょ?
私の隣で長谷 律が、私の言葉に頷いている。
芸能人に遭遇したのは、初めてだ。
この人から、特に強いオーラは感じられない。
でも、熱狂的なファンはきっと強いオーラを感じ取ったんだろう。
「何だ…律くんじゃないよ。友基って人だって」
「何それ、ややこしいな。キャップなんか深く被って、芸能人気取り?」
君たち、ファンでもある芸能人の前でその暴言は良くないぞ。
聞こえてるぞ。長谷 律、傷ついてるんじゃないか。
二人が去った後、そっと目線だけを向けると、男の人は私の方をじっと見ていて、目がばっちり合った。