好きになったのは後ろの席の彼でした。
教室の中は新クラスの喜びや緊張が入り交じっていてなんだか新鮮な香りがした。
黒板前には人集りができていてきっとそこに席が書かれているのだろう。
でも人集りの中に入っていく勇気はないから彩葉と奈々と近くで話していることにした。
「あ、優馬(ゆうま)くんが隣のクラスっぽいからあたしちょいと行ってくるー」
奈々がスマホを見るとすぐに教室を出て行った。
「彼氏いいなぁぁーー!彩葉もそう思うよね?!」
彼氏に会いに行った奈々を羨ましながら彩葉にも共感を求める。どうせ彩葉は共感しないだろうけど。
「どうしてそんなに彼氏が欲しいのよ。彼氏なんていなくても人生楽しいじゃない。」
彩葉が少し目を伏せて小さめの声で言う。
彩葉は昔から彼氏の話をすると切ない顔をする。なにかあるのだろうけど彩葉が言ってくれるまで聞くのはやめることにした。
「ねぇそこどいてくんない?」
彩葉の表情が気になってボーッとしていると後ろから男の子に声をかけられた。
「あ、ごめんなさ_」
振り返りながら後ろを向くと見たことのない美形の男の子がいた。
なんだかビビっときたような
「あれいろちゃんじゃん。久し振りだね。」
え?いろちゃんって彩葉のこと?
美形男子は彩葉のことをいろちゃんと呼びチャラそうなヘラっとした笑顔で手を振る。
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