深瀬くんが甘すぎる

――ピピピピッ、ピピピピッ

ああもう、朝からうるさいな。
どこか遠くで鳴る目覚まし時計の音に重い瞼を持ち上げ、薄暗い視界の中でさっきから電子音を出しているそれを乱暴に止めた。

目覚まし時計の針を見ると、まだ6時30分。
いつも起きる時間よりも、10分も早い。これならもう一度寝れるな、と布団をかぶりなおそうとして…、それから今日目覚まし時計が早めに鳴った理由を思い出す。

「――今日っ、始業式…!」

口に出した途端意識が急に覚醒して、かぶろうとしていた布団を慌てて放り出す。
そのままの勢いでベットから起き上がり、手早くクローゼットにかけてあった制服を身にまとった。

そうだった、今日が始業式だから身だしなみをちゃんとしたくて早めに目覚ましをかけたんだった。

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