深瀬くんが甘すぎる
長いような短いような気もする時間をかけて高校まで着き、新しいクラスが張り出されている掲示板を2人で一クラスずつ確認していく。
ドキドキと心臓は早鐘を打ち、緊張で手がしめる。
「あ!」
「あった、4組!」
2人同時に声を上げ、それから顔を見合わせて笑う。
そのまま4組の教室に入って、黒板の座席表を確認した。
私の席は、窓側の一番後ろの席。新学年直後は名簿順だから、苗字が「八代」の私はかなりの確率でこの席だ。
まだ教室中が新しいクラスにソワソワしていて、新学年特有の空気感だ。
自分の席に荷物を置いた志穂が私の机まで来てくれて、また他愛もない話に花を咲かせる。