天才と呼ばれた彼女は無理やり入れられた後宮で怠惰に過ごしたい!②
優雅なお茶会は開かれる
私とウィルバートはゆったりと庭園で、お茶を飲み、話をしていた。
貴重な二人の時間を楽しんでいたのに、空気を読まずに現れたのは、ガルシア将軍だった。
「楽しくお喋りか?王様と王妃様は優雅なものだな」
「……ガルシア将軍」
ウィルバートは将軍を目の前にすると、無表情になる。先程までニコニコと優しく笑うウィルの方になっていたのに、その雰囲気は霧散し、王の顔にスッと戻る。私は苦笑する。
「無粋ね。でも良いわ。将軍も相席どうぞ」
「リアン!?」
ウィルバートが私の名を呼び、非難の声をあげた。
「まぁ、良いじゃないの。楽しい会話に加えてあげましょうよ」
ニッコリと笑った私はアナベルに将軍の分のお茶を淹れるように頼む。嫌がられると思っていたらしく、ガルシア将軍は少し驚きつつ、席に着いた。
ウィルバートはどっか行け!とばかりにガルシア将軍を無言で、鋭く睨みつけると余計に嬉しそうになるガルシア将軍。ウィルバートが不快に思うことをして満足そうとか……Sだわー。
「ウィルバート、放っておきなさいよ。こういう相手はいちいち構うと、よけいに喜ばせてしまうわよ?」
「なっ!この王妃!サラッと失礼なことを言うな!」
間違っていないとは思うんだけど?と、花の香りがするお茶を一口飲み、無視する。
「えーっと、どこまで話していたかしら。……南方の地は落ち着かせたと言うけれど、やはり貧しいのが原因だと思うのよね。解決しない限り、乱は繰り返し、起こるわ」
「そうだな。でもな、税金を減らしたいが、あまりに減らしすぎても国が立ち行かない」
「産業を起こすしかないわね!南方は海に面しているから、ラッキーだと思うのよね」
私がラッキーと言った意味はウィルバートに即座に伝わり、ああ、なるほどねと笑う。同じ私塾で学んできただけあって、言いたいことをすぐわかってくれ、話していると楽しい。私塾でもウィルと話してると時間を忘れてしまうことがよくあった。
……が、一人だけ、ポツーンとしている人がいた。
「はあ!?なんの話だ?」
「優雅で楽しい話よ?」
ガルシア将軍がうーん……と唸る。
「乱が起きても、またねじ伏せてきてやろう。海から攻めるか?」
「今の会話のどこをどう切り取ったらそんな話になるのよ!?」
「蛮族の乱が問題なんだろう?富ませて、金をやったら、なにをしでかすかわからん」
ガルシア将軍は根からの武人だ。そう私は思った。あの後、私は彼について調べた。勇猛果敢で、武勲をいくつもたてている。兵士たちの信頼は厚い。家は武人の家門で何百年と続く名門らしい。
「将軍はそれが仕事ですものね。数々の武勲をたてていると聞いてます。素晴らしいですわ……で、話を戻すわね」
「塩の名産地にする。あそこは日照時間も長いし、広い土地もあるから、適している」
ウィルバートがそう言うと私はさすがだわ!とニッコリと笑う。私の笑顔につられて、ウィルバートもニッコリと笑った。
「おい!?塩の話で、なんでこんな雰囲気になれるんだよっ!?」
傍目から見たら、微笑み合う二人の図。
ラブラブと言える雰囲気と会話の内容があってない気がするんだが?と、ガルシア将軍が戸惑う。
アナベルもセオドアもいつもの会話だと、慣れているため、無言である。
「塩は製塩の方法を考えて、質の良い物を作れるようにしよう」
「そうね。暮らしが豊かで楽なものになれば、民の心も自然と王家に親しみや感謝の気持ちが沸くと思うわ」
ガルシア将軍がなんで塩!?としつこく聞く。
「人は塩を摂取しないと死ぬ」
それが全ての答えだと言わんばかりにウィルバートは将軍に冷たく言い放つ。会話をする気は全く無く、視線は私の方しか向かない。それが面白くなかったのか、からかうように将軍は口を開く。
「陛下は王妃に骨抜きにされてしまったとウワサで聞いたが、確かにそうかもしれないな。この生意気で、変な女は口先で惑わし………」
「リアンを侮辱するなよ?言葉に気をつけろよ」
ウィルバートがピリピリとした危険な空気を纏い出し、鋭く睨む。彼が本気になってきたと察した将軍は両手をあげて、アハハハと笑った。
「そうだ。やはり陛下はその表情が良い。王ともあろう者が、たかだか、女一人に、そんな真剣になるなよ」
そう言うと立ち上がり、将軍は退席する。ウィルバートは胃が痛そうな顔をして、はぁ……と嘆息したのだった。表情は暗い。
将軍を知ろうと思って、お茶会に誘ったのだが、その結果、ウィルバートのストレスを溜めてしまったようだ。いろいろと難しいわ……。
貴重な二人の時間を楽しんでいたのに、空気を読まずに現れたのは、ガルシア将軍だった。
「楽しくお喋りか?王様と王妃様は優雅なものだな」
「……ガルシア将軍」
ウィルバートは将軍を目の前にすると、無表情になる。先程までニコニコと優しく笑うウィルの方になっていたのに、その雰囲気は霧散し、王の顔にスッと戻る。私は苦笑する。
「無粋ね。でも良いわ。将軍も相席どうぞ」
「リアン!?」
ウィルバートが私の名を呼び、非難の声をあげた。
「まぁ、良いじゃないの。楽しい会話に加えてあげましょうよ」
ニッコリと笑った私はアナベルに将軍の分のお茶を淹れるように頼む。嫌がられると思っていたらしく、ガルシア将軍は少し驚きつつ、席に着いた。
ウィルバートはどっか行け!とばかりにガルシア将軍を無言で、鋭く睨みつけると余計に嬉しそうになるガルシア将軍。ウィルバートが不快に思うことをして満足そうとか……Sだわー。
「ウィルバート、放っておきなさいよ。こういう相手はいちいち構うと、よけいに喜ばせてしまうわよ?」
「なっ!この王妃!サラッと失礼なことを言うな!」
間違っていないとは思うんだけど?と、花の香りがするお茶を一口飲み、無視する。
「えーっと、どこまで話していたかしら。……南方の地は落ち着かせたと言うけれど、やはり貧しいのが原因だと思うのよね。解決しない限り、乱は繰り返し、起こるわ」
「そうだな。でもな、税金を減らしたいが、あまりに減らしすぎても国が立ち行かない」
「産業を起こすしかないわね!南方は海に面しているから、ラッキーだと思うのよね」
私がラッキーと言った意味はウィルバートに即座に伝わり、ああ、なるほどねと笑う。同じ私塾で学んできただけあって、言いたいことをすぐわかってくれ、話していると楽しい。私塾でもウィルと話してると時間を忘れてしまうことがよくあった。
……が、一人だけ、ポツーンとしている人がいた。
「はあ!?なんの話だ?」
「優雅で楽しい話よ?」
ガルシア将軍がうーん……と唸る。
「乱が起きても、またねじ伏せてきてやろう。海から攻めるか?」
「今の会話のどこをどう切り取ったらそんな話になるのよ!?」
「蛮族の乱が問題なんだろう?富ませて、金をやったら、なにをしでかすかわからん」
ガルシア将軍は根からの武人だ。そう私は思った。あの後、私は彼について調べた。勇猛果敢で、武勲をいくつもたてている。兵士たちの信頼は厚い。家は武人の家門で何百年と続く名門らしい。
「将軍はそれが仕事ですものね。数々の武勲をたてていると聞いてます。素晴らしいですわ……で、話を戻すわね」
「塩の名産地にする。あそこは日照時間も長いし、広い土地もあるから、適している」
ウィルバートがそう言うと私はさすがだわ!とニッコリと笑う。私の笑顔につられて、ウィルバートもニッコリと笑った。
「おい!?塩の話で、なんでこんな雰囲気になれるんだよっ!?」
傍目から見たら、微笑み合う二人の図。
ラブラブと言える雰囲気と会話の内容があってない気がするんだが?と、ガルシア将軍が戸惑う。
アナベルもセオドアもいつもの会話だと、慣れているため、無言である。
「塩は製塩の方法を考えて、質の良い物を作れるようにしよう」
「そうね。暮らしが豊かで楽なものになれば、民の心も自然と王家に親しみや感謝の気持ちが沸くと思うわ」
ガルシア将軍がなんで塩!?としつこく聞く。
「人は塩を摂取しないと死ぬ」
それが全ての答えだと言わんばかりにウィルバートは将軍に冷たく言い放つ。会話をする気は全く無く、視線は私の方しか向かない。それが面白くなかったのか、からかうように将軍は口を開く。
「陛下は王妃に骨抜きにされてしまったとウワサで聞いたが、確かにそうかもしれないな。この生意気で、変な女は口先で惑わし………」
「リアンを侮辱するなよ?言葉に気をつけろよ」
ウィルバートがピリピリとした危険な空気を纏い出し、鋭く睨む。彼が本気になってきたと察した将軍は両手をあげて、アハハハと笑った。
「そうだ。やはり陛下はその表情が良い。王ともあろう者が、たかだか、女一人に、そんな真剣になるなよ」
そう言うと立ち上がり、将軍は退席する。ウィルバートは胃が痛そうな顔をして、はぁ……と嘆息したのだった。表情は暗い。
将軍を知ろうと思って、お茶会に誘ったのだが、その結果、ウィルバートのストレスを溜めてしまったようだ。いろいろと難しいわ……。