鈴の願いが鳴るころに誓いを

鈴と太陽

その扉をあけるとリンッと音がして昨日と同じ黒い瞳をこちらへまっすぐ向けて少し笑ったので僕のためだけに向けられた視線に嬉しく思っていた

それから僕は「名前なんて言うんですか」と聞くと彼女はかわいいピンクのペンを手に取り白いノートを僕に手渡して自分の耳をとんとんとして見せた
先輩は聞こえないのかもしれないと理解した
そこに改めて"名前はなんですか"と書いた
彼女から"近江涼乃"と返ってきた
"近江先輩"と書くと先輩は何かを書き始めてそれを勢いよく見せてきた
"涼乃でいいよ"
僕なんかが女子を名前で?ましては先輩を…
気が引けるので"涼乃さん"と書いてみた
すると先輩はほっぺたをぷくーっと膨らませて拗ねたような仕草をしたのが不意にもかわいいと思った
"涼乃がいい!!"と言っているけど僕にはハードルが高いので少しずつということでお願いした
"名前久しぶり"
僕も。と書こうとして僕と涼乃さんを一緒にしていいものかと思い"きれいな名前ですね"と書いた
すると涼乃さんは少し顔を赤らめて僕を指差したのであっ僕の名前を聞いているのかなと思い"宮瀬晴"と書いたら涼乃は"宮瀬くん"と書いた
"下の名前でいいですよ"と書くと"晴さん?"と意外な返事が返ってきてあきらかにわざとだな
ちらりと涼乃さんの方を見ると少し肩が震えていて笑いを堪えていたので僕も思わず笑ってしまいしばらく2人で笑ったあと"呼び捨てでいいです僕の方が後輩なので"と書いて見せた
"後輩も先輩も同じだよ晴"と返ってきた
なぜか照れてしまって涼乃さんはそんな僕に気づいたのかにやにやしながらお日様みたいだねと僕とは正反対な言葉をノートに書いた
僕も笑いながら涼乃さんも鈴っぽい笑った顔とか
と書いて見せた。
明るい人で涼乃さんといるとずっと楽しい
嘘がない綺麗な音がする
涼乃さんの音が好きだ
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