鈴の願いが鳴るころに誓いを

あの日の約束を

それから3年がたって僕は高校2年生になった
涼乃さんとは連絡先を交換したけどまだ何も送ったことはない
忘れられてしまっていたらと思うと怖くて

僕は県外の高校を選ばなかった
涼乃さんがいつでも帰ってこられるように

そんなことを考えていると授業終了のチャイムが鳴って休憩時間になった
「宮瀬ー!!購買にパン買いに行くぞ!」
「そうだよ!今日こそ新作のメロンパンゲットしにいくって言っただろ」
と僕を呼んでくれる
その人たちからはあたたかいおひさまの音がする
笑いながら「はーい」と返事をして席を立った
そのときポケットに入っていたスマホが震えた
送り主は【涼乃さん】
僕は目を擦って何度も確認して涙で画面が霞むのをなんとか見ようとした
そこには《7月7日 12:00 羽田空港》とだけ書いてあった
涼乃さんが帰ってくる
色んな気持ちが溢れて涙が止まらなかった
彼らが近づいてきて「おいおい大丈夫かよ。」と心配してくれる
「あっあの前言ってた先輩?帰ってくるの⁉︎」
僕は何度も強く頷いた
彼らは自分のことのように「よかったなあ、よかったなあ」と喜んでくれてその日の休憩時間は僕たちのところだけ異様な雰囲気だった。

そして7月7日
僕は新幹線で空港まで向かっていた。

話したいことがたくさんあるんだ。

すごく大切な友達ができたこと

君のことを1日でも忘れたことがないこと

君が無事でよかったこと

会いたかったこと

そして、君が好きだと

今度こそちゃんと

僕は何度だって君を1番に見つけるよ

僕は落ち着きがない様子で空港に駆け込んだ
そのとき

        リンッ

鈴の音がして改札の方を振り向いた
そこには少し短くなった肩まである黒髪を揺らしながらきょきょろ辺りを探している涼乃さんがいた。

僕は周りの目なんて気にせず今日だけ許してくださいと心の中で呟いてルールも無視して大きな声をだした

『涼乃!!!』

彼女はこちらを振り向いて嬉しそうな、泣きそうな瞳を揺らして『晴!!』と僕の名前を呼んだ。

そして涼乃の方へまっすぐ走った
もう僕の瞳にも君以外は映っていない

君がいるときはいつも鈴の音がしたー。

周りの人や蝉の声でいっぱいになるあの夏に君と出会って僕に好きを教えてくれた

もう一度その声で名前を呼んでほしい
鈴を転がすような笑い声

今度はちゃんと伝えさせて

世界で1番好きなんだって。
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