カナリアの教室、秘密の恋を
「西山はどうしたら俺の授業聞いてくれんの?」

「…聞かないとダメなんですか?」

「当たり前だろっ、何のために高校来てるんだよ」

「……。」


何のために?


中学の頃、先生に高校はどこへ行くの?って最初から高校へ行くことが決まってるみたいに言われたから。学力レベルで行ける高校を教えてもらって受けたら受かっちゃったから今ここにいる。

それが嫌だとかは別にないけど…

でも、リボンを大きくしたりスカートにフリルを付けたり自分らしくいようとするとみんなが可笑しなものを見る目で私を見るの。

私は私の好きなものを貫いてるだけなのに。

みんな遠くから嘲笑ってるみたいにー…

「崎本先生」

「何?授業受ける気になった?」

手に持った最後の本を本棚にしまって、伺うように隣を見る。

「先生はもし私がたくさんの人たちの中に埋もれて自分を見失っていたら、私を見付け出してくれますか?」

崎本先生の目を見つめて。
私の問いかけに少し驚いた表情を見せる崎本先生だったけど。

「……は?え、何どうゆう意味?」

でもこれが私の答えなんです。


「先生はもし私がたくさんの人たちの中に埋もれて自分を見失っていたら、見付けて出してくれますか?」
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