カナリアの教室、秘密の恋を
「…ないです」

「ほらな、自分から何もしないで勝手に嫌な奴だって決めつけるなよ」

「……。」

「自分で世界狭くしてんじゃねーよ」

そう、
…なのかな?

そんなこと1度も考えたことなかった。

だって今までも友達がいないことは普通だったから、陰口を言われることは慣れていたから、これが私の振舞い方だと思っていたから。


入学する前から思ってたの。

ううん、たぶん高校を受験した時から思ってた。


きっと同じクラスになる子たちは私のことが嫌いだって、そう決めつけてたの。


だから1度も話そうと思ったことがなかった。

仲良くなろうって意志なんか全くなかった。


こんな私に友達なんてできるはずなくて。


「人間って案外簡単なものなんだよ、昨日はよかったことでも今日になったら嫌になることもあればこないだまで嫌いだったのに今は好きになることがあるんだよ」

そうね、それは一理あるわ。

先生はみんな同じだと思ってたもの。私を見る目はいつも冷たく私の話なんか聞く耳も持ってくれなかったわ。

「一言で変わる世界はあるんだよ」

崎本先生以外、私のことを見てくれる先生なんていなかった。

そんな瞳で私を見てくれる人なんかいなかった。
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