カナリアの教室、秘密の恋を
「もう6月ね…」

ふぅっと息を吐きながらローズヒップティーをひとくち、仕事から帰って来て楽しむのが何より好きな時間。

「6月ってどうしてこう切なくなるのかしらね」

まぁ一般的には秋とか冬にそう感じるみたいだけど。

誰に言うわけでもない、自分に問いかけてるこの風景も少し寂しい…まぁいいわ。



6月は思い出してしまうから。


もう誰も好きにならなって決めた日のことを。



私はもう誰も好きにならない。一生恋はしない。

でもそれはかなしことじゃないの、たったひとつの恋だけで十分だから。




それを失いたくないの。



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