カナリアの教室、秘密の恋を
「架純ちゃん、お弁当食べよ!」

翌日、何事もなかったように亜由ちゃんが話しかけて来た。

当たり前ね、何事もなかったものね私たちの間には。


でも私はもう昨日までの私じゃないの。


「ごめんなさい、1人で食べるわ」

ふいっと視線を逸らす、目を合わせないように。

「え、なんで?何かあるの?」

「別にないわ」

「じゃあなんで?」

ふぅっと息を吐いて、瞳に力を入れる。それが冷たく感じてしまうかもしれないけど。

「私、あなたと友達になる気なんてないの」

強い眼差しで亜由ちゃんの方を見た。

「は、何それ…?」

亜由ちゃんが顔を歪めた。

わかってる、わかってるの。

亜由ちゃんが悪いわけじゃないってこと。


きっとまだ今なら引き返せるの。


「ごめんなさい…っ」


だけど、引き返したくないの。


亜由ちゃんの横を通り抜ける。

下を向いて、もう何も目に入って来ないように。目に映ってしまったら全部を失ってしまう気がして。
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