<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
いざ行かん!ドラゴンの国へ 5
「それにしても荷物を失ってしまったのは痛手だったな……」
サミュエル王子は海をじっと見つめながらため息をついた。
すると唯一荷物が無事だったナージャさん。
「まぁまぁ、荷物なんて良いじゃありませんか。人は無の状態で生まれ、死ぬときだって何一つ持って旅立てないのですから」
妙に悟りを開いたような物言いをする。確かに彼女の言い分はなる程と言えない事もないが、唯一荷物が無事だったナージャさんの言葉はイマイチ説得力にかける。
「まぁ、いいですわ。私達ならお金を稼ぎ出すことくらいどうって事はありませんから。食べ物だってお任せ下さい。私がドラゴンの姿に戻り、海に潜れば魚の100匹や200匹位……」
ミラージュの言葉に私は首を振る。
「駄目よ、ミラージュ。いくら何でもそんなにお魚ばかり食べれるものじゃないから。それに海の生態系を崩してはいけないわ。何事も程々がいいのよ」
「素晴らしいご意見! 流石はレベッカ様ですわっ!」
ミラージュはパチパチと手を叩く。私はレティオとロミオを見た。
「とりあえずレティオとロミオに引かせる荷馬車を手に入れないとね。ナージャさんはこの大陸の事よく知ってるのですよね? 町に行ってみませんか?」
私はナージャさんを振り向いた。
「ええ、そうですね。後ろに見える林を抜ければ町が見えてきますから行きましょう」
ナージャさんは後ろを指差す。よく見ると、私達と一緒に漁船に乗っていた荷物を失った人々が肩を落としながら林の奥へ消えていく姿が見えた。
「あ〜あ……あの人達荷物を全て失ってこれからどうするのでしょうね……」
ミラージュの言葉にサミュエル王子も同感する。
「全くだ。本来ならあのふざけた船長を訴えたっていいくらいなのだが……」
しかし、あの船長は目が覚めた途端に何処かへトンズラしてしまったのだ。恐らく乗客たちから責められるのを恐れたからなのだろう。だが、あの船長だって全財産を失ってしまったに違いない。
「まぁ、ジャスパーさんの事はどうだっていいわ。とりあえず皆で町に向かいましょう」
そして私達は皆でぞろぞろと町を目指して歩き始めた――
****
「うわぁ……すごい賑わいねぇ」
私は『アトランタ』の町を歩きながらキョロキョロとあたりを見渡した。すると前を歩いていたナージャさんが振り返る。
「ここには神殿があるので巡礼者が多く行き交う町なのですよ」
「神殿では一体どんな神を祀っているのだい?」
サミュエル王子が尋ねた。
「勿論! それはドラゴンです!」
言いながらビシッとナージャさんはミラージュを指さした。
「まあ……っ! わ、私が祀られているのですかっ!?」
いやいや、別にミラージュが祀られているというわけでは無いのだけど……まぁいいか。ミラージュの力は神に近いのは紛れもない事実なのだから。
「しかもその神殿に行けば資格のあるものは天に浮いているドラゴンの住む国へ昇る事が出来るという言い伝えも残されています」
ナージャさんの言葉に私達は驚いた。
「何だってっ!? それなば今すぐ行こう! すぐ行こうっ!」
サミュエル王子は鼻息を荒くしている。
「ええ、まさか目的地について直ぐにドラゴンの国へ行けるとは思いもしませんでしたわ!」
ミラージュも自分の仲間や父親に会えるかも知れない為、興奮が止まらない。
「ではナージャさんっ! 早速神殿へ行きましょうっ!」
こうして私達は神殿を目指して歩き始めた――
サミュエル王子は海をじっと見つめながらため息をついた。
すると唯一荷物が無事だったナージャさん。
「まぁまぁ、荷物なんて良いじゃありませんか。人は無の状態で生まれ、死ぬときだって何一つ持って旅立てないのですから」
妙に悟りを開いたような物言いをする。確かに彼女の言い分はなる程と言えない事もないが、唯一荷物が無事だったナージャさんの言葉はイマイチ説得力にかける。
「まぁ、いいですわ。私達ならお金を稼ぎ出すことくらいどうって事はありませんから。食べ物だってお任せ下さい。私がドラゴンの姿に戻り、海に潜れば魚の100匹や200匹位……」
ミラージュの言葉に私は首を振る。
「駄目よ、ミラージュ。いくら何でもそんなにお魚ばかり食べれるものじゃないから。それに海の生態系を崩してはいけないわ。何事も程々がいいのよ」
「素晴らしいご意見! 流石はレベッカ様ですわっ!」
ミラージュはパチパチと手を叩く。私はレティオとロミオを見た。
「とりあえずレティオとロミオに引かせる荷馬車を手に入れないとね。ナージャさんはこの大陸の事よく知ってるのですよね? 町に行ってみませんか?」
私はナージャさんを振り向いた。
「ええ、そうですね。後ろに見える林を抜ければ町が見えてきますから行きましょう」
ナージャさんは後ろを指差す。よく見ると、私達と一緒に漁船に乗っていた荷物を失った人々が肩を落としながら林の奥へ消えていく姿が見えた。
「あ〜あ……あの人達荷物を全て失ってこれからどうするのでしょうね……」
ミラージュの言葉にサミュエル王子も同感する。
「全くだ。本来ならあのふざけた船長を訴えたっていいくらいなのだが……」
しかし、あの船長は目が覚めた途端に何処かへトンズラしてしまったのだ。恐らく乗客たちから責められるのを恐れたからなのだろう。だが、あの船長だって全財産を失ってしまったに違いない。
「まぁ、ジャスパーさんの事はどうだっていいわ。とりあえず皆で町に向かいましょう」
そして私達は皆でぞろぞろと町を目指して歩き始めた――
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「うわぁ……すごい賑わいねぇ」
私は『アトランタ』の町を歩きながらキョロキョロとあたりを見渡した。すると前を歩いていたナージャさんが振り返る。
「ここには神殿があるので巡礼者が多く行き交う町なのですよ」
「神殿では一体どんな神を祀っているのだい?」
サミュエル王子が尋ねた。
「勿論! それはドラゴンです!」
言いながらビシッとナージャさんはミラージュを指さした。
「まあ……っ! わ、私が祀られているのですかっ!?」
いやいや、別にミラージュが祀られているというわけでは無いのだけど……まぁいいか。ミラージュの力は神に近いのは紛れもない事実なのだから。
「しかもその神殿に行けば資格のあるものは天に浮いているドラゴンの住む国へ昇る事が出来るという言い伝えも残されています」
ナージャさんの言葉に私達は驚いた。
「何だってっ!? それなば今すぐ行こう! すぐ行こうっ!」
サミュエル王子は鼻息を荒くしている。
「ええ、まさか目的地について直ぐにドラゴンの国へ行けるとは思いもしませんでしたわ!」
ミラージュも自分の仲間や父親に会えるかも知れない為、興奮が止まらない。
「ではナージャさんっ! 早速神殿へ行きましょうっ!」
こうして私達は神殿を目指して歩き始めた――