<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
いざ行かん!ドラゴンの国へ 10
「このドラゴン王国は見ての通り、空中に浮かんでいる島なのですよ。この島は全部で5つの層に分かれておるのです。そしてあなた方はこの島から地上に向けて放たれた光に吸い込まれ、最下層に運ばれたというわけです。まぁ、手っ取早く説明すれば、島の形をした5階建の城が浮かんでいると考えてくだされば宜しかろう」
長老様は上へ続く階段を上りながら私達に説明する。
「あ、それいいですね。分かりやすい説明です!」
さすが、長老様。説明が上手だ。
「それで一体何処まで上に登るのですか? この背中に背負っているリュックサック、実はとても重いのですよ。総重量だけで10Kgはあるのですけど……し、しかも……ここは空の上ですから……く、空気も薄くて……」
ナージャさんがハーハー言いながら階段を登っている。
えっ!? あのリュック……10Kもあったのっ!?
「ナージャさん。何故その様に重たいリュックを背負っているのですか? 何処かで荷物を預けておけば宜しかったのではありませんか?」
私のすぐ後ろから階段を登っているミラージュがしごく真っ当な台詞を言う。
「え、ええ……そ、そうしたかった気持ちは山々なのですが……。このリュックには……と、とても大切な物が入っているので…持ち歩かないと気が気ではなくて……」
ナージャさんは息があがると言いつつ、誰よりも一番喋っている。こんなに高い場所にあるのだから、当然呼吸が苦しくはなる。話をすればそれだけ息も上がりやすくあるのに……何故ナージャさんはおしゃべりを続けているのだろう?
「あら? 一体何が入っているのですか?」
ミラージュもナージャさんの息が上がっているのを知っていながら話しかけている。
「え、ええ……このリュックの中には……お、お酒の次に大切な水晶が入っておりますので……手放すわけには……はぁ……そ、それにしても……い、息があがりますね……」
成程、中に入っているのはあの巨大な水晶だったのか。
けれど知らなかった。占い師のナージャさんにとってこの世で一番大切な物は水晶だと思っていたのに、それがまさかのお酒だったとは。
「まぁ、そうだったのですね。水晶が入っていたのですか。さすがは占い師ですわね」
「え、ええ……ほ、本業……で、すから……」
大変だっ! ナージャさん……酸欠寸前だっ!
「ホッホッホッ……どうやらあの娘は人間と共存出来ていたようですな」
長老様は満足気に笑いながら、更に階段を上っていく。
「あ、あの! 一体何処まで上るんですかっ!? ナージャさんが酸欠状態なのですけどっ!」
勿論、かくいう私もかなり息が上がっている。長老様やミラージュはドラゴンだから平気なのだろう。そして私も普通の人間とは少し違う。しかし、ナージャさんはただの人間なのだから、さぞかし辛いに決まっている。
するとその時――
ピカーッ!
眩しい太陽がもろに私達を直撃した。
「おおっ! 客人殿! ようやく最上階に到着しましたぞっ!」
すると目の前が開け、広大な美しい緑の草原が私達の前に姿を現した――
長老様は上へ続く階段を上りながら私達に説明する。
「あ、それいいですね。分かりやすい説明です!」
さすが、長老様。説明が上手だ。
「それで一体何処まで上に登るのですか? この背中に背負っているリュックサック、実はとても重いのですよ。総重量だけで10Kgはあるのですけど……し、しかも……ここは空の上ですから……く、空気も薄くて……」
ナージャさんがハーハー言いながら階段を登っている。
えっ!? あのリュック……10Kもあったのっ!?
「ナージャさん。何故その様に重たいリュックを背負っているのですか? 何処かで荷物を預けておけば宜しかったのではありませんか?」
私のすぐ後ろから階段を登っているミラージュがしごく真っ当な台詞を言う。
「え、ええ……そ、そうしたかった気持ちは山々なのですが……。このリュックには……と、とても大切な物が入っているので…持ち歩かないと気が気ではなくて……」
ナージャさんは息があがると言いつつ、誰よりも一番喋っている。こんなに高い場所にあるのだから、当然呼吸が苦しくはなる。話をすればそれだけ息も上がりやすくあるのに……何故ナージャさんはおしゃべりを続けているのだろう?
「あら? 一体何が入っているのですか?」
ミラージュもナージャさんの息が上がっているのを知っていながら話しかけている。
「え、ええ……このリュックの中には……お、お酒の次に大切な水晶が入っておりますので……手放すわけには……はぁ……そ、それにしても……い、息があがりますね……」
成程、中に入っているのはあの巨大な水晶だったのか。
けれど知らなかった。占い師のナージャさんにとってこの世で一番大切な物は水晶だと思っていたのに、それがまさかのお酒だったとは。
「まぁ、そうだったのですね。水晶が入っていたのですか。さすがは占い師ですわね」
「え、ええ……ほ、本業……で、すから……」
大変だっ! ナージャさん……酸欠寸前だっ!
「ホッホッホッ……どうやらあの娘は人間と共存出来ていたようですな」
長老様は満足気に笑いながら、更に階段を上っていく。
「あ、あの! 一体何処まで上るんですかっ!? ナージャさんが酸欠状態なのですけどっ!」
勿論、かくいう私もかなり息が上がっている。長老様やミラージュはドラゴンだから平気なのだろう。そして私も普通の人間とは少し違う。しかし、ナージャさんはただの人間なのだから、さぞかし辛いに決まっている。
するとその時――
ピカーッ!
眩しい太陽がもろに私達を直撃した。
「おおっ! 客人殿! ようやく最上階に到着しましたぞっ!」
すると目の前が開け、広大な美しい緑の草原が私達の前に姿を現した――