<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカを探せ 3 〜キング一家の旅 1
真夜中――
重苦しい何かが身体の上にのしかかり、目が覚めた。
「く、苦しい……一体何だ?」
部屋の中は暗闇で、一切の明かりが見えない。
「一体何が俺の身体に起こっているんだ……ん?」
その時、身体に長い髪が触れる気配を感じた。
ま、まさか……これは……。
身体の上にのしかかっているモノを押しのけるとドスンと言う鈍い音とともに、何かがベッドから落下した。
「いった〜いっ!」
ベッド下で女の声が聞こえる。
無言でベッド脇の窓にかけられた分厚いカーテンをシャッと開けた。すると、途端に月明かりで部屋が青白く照らし出され、改めてその正体を確認した。
「リーゼロッテッ! また性懲りもなくお前かっ!?」
見るとそこにはナイトドレス姿のリーゼロッテが床の上にうずくまっていた。
「ひどいじゃないっ! 何もベッドから落っことす事無いでしょうっ!?」
リーゼロッテはベッドから落下した際に、頭でも打ったのか額を抑えている。
「お前は何を考えているんだっ! 毎晩毎晩人のベッドに潜り込んできやがって!」
「何よっ! 抱いてくれたっていいじゃないのよぉっ! あの頃は毎晩私を愛してくれたのにっ!」
「うるさいっ! 黙れっ! あの頃の俺はどうかしていたんだ! とにかく過去のことを口にするな! おぞましい……。俺の黒歴史を引っ張り出すなっ!」
「何が黒歴史よっ! ふざけないでよっ! あんなに毎晩毎晩熱烈に抱いてくれたじゃないのよぉっ!」
そしてあろうことか、リーゼロッテは俺に抱きついてきた。
ゾワッ!
その瞬間に俺の身体に悪寒が走る。そう、不思議なことに今の俺はリーゼロッテに触れられると虫唾と悪寒が走るようになってしまったのだ。
「ええいっ! 寄るな触るな近づくなっ! 見ろっ! お前のせいで……と、鳥肌がたってしまったじゃないかっ! とにかく出ていけっ!」
俺は自分の腕にたった鳥肌を見せつけるかのように怒鳴りつけた。
「な、何ですってっ!? この私にそんなことを言うなんてっ!」
「黙れっ! 男が欲しいなら、いっそ娼婦になってしまえっ! 今のお前にはピッタリの仕事だっ! 兎に角これ以上俺たちにつきまとうなっ! おぞましいっ!」
憎しみを込めて怒鳴りつけた。
「何よっ! レベッカを探しに行くつもりなんでしょうっ!? あんなにあの女を蔑ろにしていたくせに、一体何なのよっ!!」
「黙れっ! 俺のレベッカをあんな女呼ばわりするなっ! 彼女は俺の女神だっ! 救世主だっ! この世の奇跡なんだよっ! お前のような下賤な女は彼女の名前を呼ぶ資格すらないのだっ!」
「な、なんですって……! ふざけないでよっ!」
そこへ……。
「うるさいっ! いいかげんにしろっ! お前たちがうるさくて眠れないだろう!?」
同じ部屋で眠っていたクズ親父がガバッと飛び起きると喚いた。
「ああ、本当にその通りだよ。君たち2人のせいで毎晩毎晩寝不足なんだよ。痴話喧嘩なら外でやってくれないかなぁ?」
クソ兄貴が目をこすりながらムクリと起きた。
「うるさいっ! 誰が痴話喧嘩だっ! そんなことよりも誰かこの女を俺に近づけないでくれ! こんなアバズレ女は俺の趣味じゃないんだっ!」
「誰がアバズレよっ!」
「お前のことだっ!」
全くなんて女なんだ。ここまで拒絶されているのに毎晩毎晩抱いてくれと俺に迫ってくる。女のプライドという物すら持ち合わせていないのだろうか?
ああ……レベッカ。
早くお前に会いたい。お前にならどんなに罵声を浴びせられようが、罵られようが、あまつさえ踏みつけられようが、喜んで受け入れられるのに……。
そして俺はレベッカを思い、今夜もアバズレ女から自分の貞操を守り抜いた――
重苦しい何かが身体の上にのしかかり、目が覚めた。
「く、苦しい……一体何だ?」
部屋の中は暗闇で、一切の明かりが見えない。
「一体何が俺の身体に起こっているんだ……ん?」
その時、身体に長い髪が触れる気配を感じた。
ま、まさか……これは……。
身体の上にのしかかっているモノを押しのけるとドスンと言う鈍い音とともに、何かがベッドから落下した。
「いった〜いっ!」
ベッド下で女の声が聞こえる。
無言でベッド脇の窓にかけられた分厚いカーテンをシャッと開けた。すると、途端に月明かりで部屋が青白く照らし出され、改めてその正体を確認した。
「リーゼロッテッ! また性懲りもなくお前かっ!?」
見るとそこにはナイトドレス姿のリーゼロッテが床の上にうずくまっていた。
「ひどいじゃないっ! 何もベッドから落っことす事無いでしょうっ!?」
リーゼロッテはベッドから落下した際に、頭でも打ったのか額を抑えている。
「お前は何を考えているんだっ! 毎晩毎晩人のベッドに潜り込んできやがって!」
「何よっ! 抱いてくれたっていいじゃないのよぉっ! あの頃は毎晩私を愛してくれたのにっ!」
「うるさいっ! 黙れっ! あの頃の俺はどうかしていたんだ! とにかく過去のことを口にするな! おぞましい……。俺の黒歴史を引っ張り出すなっ!」
「何が黒歴史よっ! ふざけないでよっ! あんなに毎晩毎晩熱烈に抱いてくれたじゃないのよぉっ!」
そしてあろうことか、リーゼロッテは俺に抱きついてきた。
ゾワッ!
その瞬間に俺の身体に悪寒が走る。そう、不思議なことに今の俺はリーゼロッテに触れられると虫唾と悪寒が走るようになってしまったのだ。
「ええいっ! 寄るな触るな近づくなっ! 見ろっ! お前のせいで……と、鳥肌がたってしまったじゃないかっ! とにかく出ていけっ!」
俺は自分の腕にたった鳥肌を見せつけるかのように怒鳴りつけた。
「な、何ですってっ!? この私にそんなことを言うなんてっ!」
「黙れっ! 男が欲しいなら、いっそ娼婦になってしまえっ! 今のお前にはピッタリの仕事だっ! 兎に角これ以上俺たちにつきまとうなっ! おぞましいっ!」
憎しみを込めて怒鳴りつけた。
「何よっ! レベッカを探しに行くつもりなんでしょうっ!? あんなにあの女を蔑ろにしていたくせに、一体何なのよっ!!」
「黙れっ! 俺のレベッカをあんな女呼ばわりするなっ! 彼女は俺の女神だっ! 救世主だっ! この世の奇跡なんだよっ! お前のような下賤な女は彼女の名前を呼ぶ資格すらないのだっ!」
「な、なんですって……! ふざけないでよっ!」
そこへ……。
「うるさいっ! いいかげんにしろっ! お前たちがうるさくて眠れないだろう!?」
同じ部屋で眠っていたクズ親父がガバッと飛び起きると喚いた。
「ああ、本当にその通りだよ。君たち2人のせいで毎晩毎晩寝不足なんだよ。痴話喧嘩なら外でやってくれないかなぁ?」
クソ兄貴が目をこすりながらムクリと起きた。
「うるさいっ! 誰が痴話喧嘩だっ! そんなことよりも誰かこの女を俺に近づけないでくれ! こんなアバズレ女は俺の趣味じゃないんだっ!」
「誰がアバズレよっ!」
「お前のことだっ!」
全くなんて女なんだ。ここまで拒絶されているのに毎晩毎晩抱いてくれと俺に迫ってくる。女のプライドという物すら持ち合わせていないのだろうか?
ああ……レベッカ。
早くお前に会いたい。お前にならどんなに罵声を浴びせられようが、罵られようが、あまつさえ踏みつけられようが、喜んで受け入れられるのに……。
そして俺はレベッカを思い、今夜もアバズレ女から自分の貞操を守り抜いた――