<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 4 (母を求めて?千里? 7)
私は目を閉じ、神経を地上に向けて集中させる。すると頭の中に神殿の周囲の映像が浮かび上がってきた。人々は上空を見上げて立ちすくんでいる。その中にはサミュエル王子の姿もあった。
時よ……しばらくの間、時間を止めて……!
ピーン
頭の中で時が止まる合図の音が流れた。そして地上のすべての時が止まる。
「や、やったわ……地上の時を……と、とりあえず30分程止めたから……ミラージュ……」
あ、駄目だ。もう……エネルギー切れだ……。
プツン
頭の中で音が聞こえ、私はそのまま眠りについてしまった――
****
あ……口の中で甘い味が広がっている……。これは……?
パチッと目を開けると、眼前に大きなクッキーを手にしたミラージュの姿が飛び込んできた。そして上空に見えるは青い空。どうやらここは神殿のようだった。
「あっ! レベッカ様! 目が覚めましたね!? 良かった……」
ミラージュが安堵のため息をつきながら私を見た。目の前には他にナージャさんとセネカさんの姿もある。
「ありがとう、ミラージュ。貴女が私に食べ物を与えてくれていたのね?」
すると……。
「良かったレベッカ! 君が目覚めてくれて……っ!」
いきなり背後からガバッと抱きしめられた。え……? 背後から……?
恐る恐る振り向き、思わず目を見開いた。
何と私はサミュエル王子の膝の上に座るように抱きかかえられていたのだ。
「キャアアアアアアア――ッ!!」
私の叫び声が青い空に響き渡った――
****
「ごめんよ。レベッカ。ここは床も硬くて、眠ってしまった君を寝かせることが出来なくて……それで俺が君を抱きかかえてミラージュが食べ物をあげることにしたんだよ。でも本当に悪かったと思ってる。寝ているレベッカに勝手な事をして……本当にごめんっ!」
サミュエル王子は神殿の床に頭を擦りつけて、必死になって謝ってくる。
「いえ……サミュエル王子。もう結構ですよ? そこまでして謝らなくても。ただ驚いて悲鳴をあげただけですから」
その証拠に驚きのショックはあっても力が発動することは無かった。しかしこれがあのキング一族だったら恐らく天変地異が起きていただろう。
何しろ私の感情と力は比例している。私の受けたショックが大きければ大きいほど、それだけ力が勝手に発動してしまうのだからこればかりはどうしようもない。
それでも小さな子供の頃に比べると、力が発動する回数は驚くほどに減った。
これも恐らく私の心の成長の賜物かもしれない。
「そうかい? それなら良かった……。レベッカに嫌われたら、もう俺はショックで生きていけないだろうからね」
「またまたそんな大げさな~」
「いや、別に大げさと言う訳ではないけれど……ところで、この子はどこの子供なんだい? もしかして迷子の子供を保護したのかい?」
サミュエル王子はよりにもよって、プライドの高いドラゴン族の長老の息子であり、ミラージュのパパであるセネカさんを指さし、迷子の子ども扱いした――
時よ……しばらくの間、時間を止めて……!
ピーン
頭の中で時が止まる合図の音が流れた。そして地上のすべての時が止まる。
「や、やったわ……地上の時を……と、とりあえず30分程止めたから……ミラージュ……」
あ、駄目だ。もう……エネルギー切れだ……。
プツン
頭の中で音が聞こえ、私はそのまま眠りについてしまった――
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あ……口の中で甘い味が広がっている……。これは……?
パチッと目を開けると、眼前に大きなクッキーを手にしたミラージュの姿が飛び込んできた。そして上空に見えるは青い空。どうやらここは神殿のようだった。
「あっ! レベッカ様! 目が覚めましたね!? 良かった……」
ミラージュが安堵のため息をつきながら私を見た。目の前には他にナージャさんとセネカさんの姿もある。
「ありがとう、ミラージュ。貴女が私に食べ物を与えてくれていたのね?」
すると……。
「良かったレベッカ! 君が目覚めてくれて……っ!」
いきなり背後からガバッと抱きしめられた。え……? 背後から……?
恐る恐る振り向き、思わず目を見開いた。
何と私はサミュエル王子の膝の上に座るように抱きかかえられていたのだ。
「キャアアアアアアア――ッ!!」
私の叫び声が青い空に響き渡った――
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「ごめんよ。レベッカ。ここは床も硬くて、眠ってしまった君を寝かせることが出来なくて……それで俺が君を抱きかかえてミラージュが食べ物をあげることにしたんだよ。でも本当に悪かったと思ってる。寝ているレベッカに勝手な事をして……本当にごめんっ!」
サミュエル王子は神殿の床に頭を擦りつけて、必死になって謝ってくる。
「いえ……サミュエル王子。もう結構ですよ? そこまでして謝らなくても。ただ驚いて悲鳴をあげただけですから」
その証拠に驚きのショックはあっても力が発動することは無かった。しかしこれがあのキング一族だったら恐らく天変地異が起きていただろう。
何しろ私の感情と力は比例している。私の受けたショックが大きければ大きいほど、それだけ力が勝手に発動してしまうのだからこればかりはどうしようもない。
それでも小さな子供の頃に比べると、力が発動する回数は驚くほどに減った。
これも恐らく私の心の成長の賜物かもしれない。
「そうかい? それなら良かった……。レベッカに嫌われたら、もう俺はショックで生きていけないだろうからね」
「またまたそんな大げさな~」
「いや、別に大げさと言う訳ではないけれど……ところで、この子はどこの子供なんだい? もしかして迷子の子供を保護したのかい?」
サミュエル王子はよりにもよって、プライドの高いドラゴン族の長老の息子であり、ミラージュのパパであるセネカさんを指さし、迷子の子ども扱いした――