<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 4 (母を求めて?千里? 9)
「やぁ、話は終わったかい?」
セネカさんを連れてサミュエル王子の元へ私達は戻ってきた。
「ええ……終わりましたわ」
ミラージュは自分の父親と手をつなぎ、ジロリとセネカさんを見下ろした。
「お姉ちゃん……そんなおっかない目で見ないでよぉ……」
涙目でミラージュを見上げるセネカさん。すごい演技力だ。
「取り敢えずサミュエル王子。この方……いえ、この子を旅に同行させても良いでしょうか?」
私は改めてサミュエル王子に尋ねた。
「ああ、勿論俺は構わないよ。旅の仲間が増えるのは歓迎だよ」
おおっ! 流石はどこまでも太っ腹なサミュエル王子。
「それでこれからどうしますか? 今の私達は一文無しですから、取り敢えず酒場に行きませんか?」
ナージャさんが矛盾したことを言う。
「ねぇ? お金も無いのにどうして酒場に行くの?」
おおっ! 子供の口調でセネカさんが尋ねてきた。
「ふふん、良い質問をされましたね?」
得意そうなナージャさん。
「こう見えても私は凄腕の占い師ですよ? 酒場に行けば色々な人達がいます。悩みを抱えている人々や人生の岐路に立たされ、自分の進むべき道を迷っている方や失せ物を探している人々……。そういう方々の困りごとを私が占いで全て解決してさしあげるのですっ! ついでに彼等に食事やお酒でもご馳走になれば一石二鳥ではありませんか?」
「おおっ! 成程っ! 流石はナージャッ!」
サミュエル王子はパチパチと手を叩いた。
「さぁ! そうと決まれば皆さん! 参りましょうっ!」
「「「「おーっ!!!!!」
私達は声を揃えて返事をした――
****
「あ〜? 駄目だ駄目だ駄目だっ! うちの酒場で勝手に怪しげな商売をしないでくれよっ!」
頭の剥げた年齢不詳のマスターが私達を店内へ入れることもなく、シッシッと手で追い払う。
「まぁっ! 何って態度が悪い店主ですのっ!? 仮にもレベッカ様とこの私にそんな生意気な口を叩くなんてっ!」
「そうだっ! 手で追い払うなど生意気なっ!」
ミラージュはまだしも、どう見ても子供のセネカさんまでもがマスターを見上げて文句を言う。
「ちょ、ちょっと! 何言ってるんですかっ!!」
失礼だとは思うが、私は慌ててセネカさんの口を塞ぐと平謝りに謝った。
「申し訳ございませんっ! 連れの者が生意気な口を叩きましてっ!」
「全く……生意気な女とガキだな。とにかく商売の邪魔だ。さっさと何処かへ消えてくれ」
「仕方ない……。他の店へ行くか?」
サミュエル王子が私達に声を掛けた。するとズイッとナージャさんがマスターの前に進み出てきた。
「マスター。何か悩みがあるのじゃありませんか?」
「え!? な、何故それを……」
マスターがギクリとした様子でナージャさんを見る。
「その悩み……私がズバリ解決して差し上げましょうか?」
「ふ、ふん。そ、そんなウマいことを言ってもこの俺は騙されないぞ?」
「おやぁ……いいんですかぁ……そんな事を仰っても。後悔しても知りませんよぉ〜」
妙に勿体つけた言い方をするナージャさん。
「う、うぅ……お、俺は占いなんか信じないからな……?」
頑なに拒絶するマスター。
「そうですか、分かりました。ではそのまま報われない恋を抱えて生きて下さい。皆さん、行きましょう。他の店をあたりましょう」
「うわぁぁああっ! ま、待ってくれ! お、俺の悩みを解決してくれーっ!」
ついにマスターはナージャさんに泣きついてきた。
「なら、ここで占いをさせてもらってもいいですね?」
「あ、ああ。勿論だ。好きなだけやってくれ。なんならこの上は宿屋なんだ。ただで泊めてやってもいいぞ?」
おおっ! なんてラッキー!
こうして私達はナージャさんのお陰で商売の場と、宿を提供してもらえる事になるのだった――
セネカさんを連れてサミュエル王子の元へ私達は戻ってきた。
「ええ……終わりましたわ」
ミラージュは自分の父親と手をつなぎ、ジロリとセネカさんを見下ろした。
「お姉ちゃん……そんなおっかない目で見ないでよぉ……」
涙目でミラージュを見上げるセネカさん。すごい演技力だ。
「取り敢えずサミュエル王子。この方……いえ、この子を旅に同行させても良いでしょうか?」
私は改めてサミュエル王子に尋ねた。
「ああ、勿論俺は構わないよ。旅の仲間が増えるのは歓迎だよ」
おおっ! 流石はどこまでも太っ腹なサミュエル王子。
「それでこれからどうしますか? 今の私達は一文無しですから、取り敢えず酒場に行きませんか?」
ナージャさんが矛盾したことを言う。
「ねぇ? お金も無いのにどうして酒場に行くの?」
おおっ! 子供の口調でセネカさんが尋ねてきた。
「ふふん、良い質問をされましたね?」
得意そうなナージャさん。
「こう見えても私は凄腕の占い師ですよ? 酒場に行けば色々な人達がいます。悩みを抱えている人々や人生の岐路に立たされ、自分の進むべき道を迷っている方や失せ物を探している人々……。そういう方々の困りごとを私が占いで全て解決してさしあげるのですっ! ついでに彼等に食事やお酒でもご馳走になれば一石二鳥ではありませんか?」
「おおっ! 成程っ! 流石はナージャッ!」
サミュエル王子はパチパチと手を叩いた。
「さぁ! そうと決まれば皆さん! 参りましょうっ!」
「「「「おーっ!!!!!」
私達は声を揃えて返事をした――
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「あ〜? 駄目だ駄目だ駄目だっ! うちの酒場で勝手に怪しげな商売をしないでくれよっ!」
頭の剥げた年齢不詳のマスターが私達を店内へ入れることもなく、シッシッと手で追い払う。
「まぁっ! 何って態度が悪い店主ですのっ!? 仮にもレベッカ様とこの私にそんな生意気な口を叩くなんてっ!」
「そうだっ! 手で追い払うなど生意気なっ!」
ミラージュはまだしも、どう見ても子供のセネカさんまでもがマスターを見上げて文句を言う。
「ちょ、ちょっと! 何言ってるんですかっ!!」
失礼だとは思うが、私は慌ててセネカさんの口を塞ぐと平謝りに謝った。
「申し訳ございませんっ! 連れの者が生意気な口を叩きましてっ!」
「全く……生意気な女とガキだな。とにかく商売の邪魔だ。さっさと何処かへ消えてくれ」
「仕方ない……。他の店へ行くか?」
サミュエル王子が私達に声を掛けた。するとズイッとナージャさんがマスターの前に進み出てきた。
「マスター。何か悩みがあるのじゃありませんか?」
「え!? な、何故それを……」
マスターがギクリとした様子でナージャさんを見る。
「その悩み……私がズバリ解決して差し上げましょうか?」
「ふ、ふん。そ、そんなウマいことを言ってもこの俺は騙されないぞ?」
「おやぁ……いいんですかぁ……そんな事を仰っても。後悔しても知りませんよぉ〜」
妙に勿体つけた言い方をするナージャさん。
「う、うぅ……お、俺は占いなんか信じないからな……?」
頑なに拒絶するマスター。
「そうですか、分かりました。ではそのまま報われない恋を抱えて生きて下さい。皆さん、行きましょう。他の店をあたりましょう」
「うわぁぁああっ! ま、待ってくれ! お、俺の悩みを解決してくれーっ!」
ついにマスターはナージャさんに泣きついてきた。
「なら、ここで占いをさせてもらってもいいですね?」
「あ、ああ。勿論だ。好きなだけやってくれ。なんならこの上は宿屋なんだ。ただで泊めてやってもいいぞ?」
おおっ! なんてラッキー!
こうして私達はナージャさんのお陰で商売の場と、宿を提供してもらえる事になるのだった――