<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 4 (母を求めて?千里? 17)
「申し訳ございませんでした……レベッカ様」
粉々に吹っ飛んでしまい、もはや瓦礫と化した宿屋の中でシュンとした様子でうなだれるミラージュ。
私達の足元にはナージャさんにサミュエル王子、店内にいたお客や従業員……約10名ほどの人々が思い思いの姿? で気を失って瓦礫に埋もれている。
「いいのよミラージュ。誰にでも過ちの一つや二つくらいあるから……」
若干ひきつった笑みを浮かべながら私はミラージュを慰め……辺りを見渡し、ため息をついた。
何しろ私たちを中心としたおよそ半径1Km範囲はまるで爆弾でも爆発したかのように吹き飛んでいるのだから。
けれど、それらはさておき……私には今、どうしても気になって仕方ないことがあった。
それは……。
「いや~流石は私の娘だ。必殺技『超音波』の破壊力は半端じゃないね」
セネカさんは嬉しそうに手を叩く。
そう、私が気になる点はそこなのだ。あれほど私たちに自分の方から戦力外発言を繰り返していたセネカさんが平然と無傷状態のテーブルを前に椅子に座っているのだから。
もしかして、ひょっとするとセネカさんは……?
するとその様子を見ていたミラージュがジロリとセネカさんを睨みつけた。
「お父様……もしやとは思いますが……」
「な、何だい? ミラージュ」
ミラージュに睨まれ、セネカさんの表情に焦りが見える。
「ひょっとして、ひょっとすると……よもやドラゴンの力が戻ったのではありませんか?」
「ギクッ!」
セネカさんの顔に明らかな狼狽している。
「あ、やっぱりミラージュもそう思う?」
「ええ、勿論ですわ。何しろ私の必殺技を喰らっても無傷でいられたのは過去においてレベッカ様しかいらっしゃいませんでしたから。それなのにお父様は平然とここにいる……」
「ミラージュの必殺技を受けても平気なのはやはり同じドラゴンの力を持っているからではありませんか?」
私もセネカさんに尋ねた。
「さ、さあ……わ、私には何のことだか……」
ダラダラ冷や汗をかきながら視線を泳がせるセネカさんにとうとうミラージュはブチ切れた。
「お父様! 正直に話さないとこのパーティーメンバーから追い出しますよ!」
「す、すまない! ミラージュ! 本当のことを言うからそれだけは勘弁してくれ!」
セネカさんは地面に頭を擦りつけると必死になって懇願してきた。
「さぁ……それでは素直に話していただきましょうか?」
ミラージュは腕組みした。
「わ、分かったよ……じ、実は……もう今朝からドラゴンの力が戻っていたのだよ。ただ、昨夜の料理の味が忘れられず、力を戻す為にはごちそうを沢山食べなければいけないと訴えるつもりだったのだ……。そこであんな嘘を……」
「はぁっ!? そ、それでは料理を沢山食べたい為に、そんなどうでも良い嘘をついたわけですかっ?」
「そ、そうです……」
「ふざけないで下さいっ! お父様のせいで私は無駄な破壊行動をしてしまったではありませんか!」
「すまない! だ、だからこれからは君たちの役に立てるように力を貸すことを約束するからどうか許しておくれ!」
ペコペコ頭を下げるセネカさんを見ていられなくなった。これ以上偉大なドラゴンのイメージが私の中で崩れていくのを見るのだけはいただけない。
そこでミラージュに声をかけた。
「まぁ落ち着いて頂戴、ミラージュ。ともかくまずこの状態を元に戻さなくちゃ。今から時間を巻き戻すから協力してね?」
「ええ、勿論ですわ」
ミラージュが頷く。
「よし、それじゃいくわよ……」
そして私は目を閉じると時間が巻き戻るように祈りを込めた――
粉々に吹っ飛んでしまい、もはや瓦礫と化した宿屋の中でシュンとした様子でうなだれるミラージュ。
私達の足元にはナージャさんにサミュエル王子、店内にいたお客や従業員……約10名ほどの人々が思い思いの姿? で気を失って瓦礫に埋もれている。
「いいのよミラージュ。誰にでも過ちの一つや二つくらいあるから……」
若干ひきつった笑みを浮かべながら私はミラージュを慰め……辺りを見渡し、ため息をついた。
何しろ私たちを中心としたおよそ半径1Km範囲はまるで爆弾でも爆発したかのように吹き飛んでいるのだから。
けれど、それらはさておき……私には今、どうしても気になって仕方ないことがあった。
それは……。
「いや~流石は私の娘だ。必殺技『超音波』の破壊力は半端じゃないね」
セネカさんは嬉しそうに手を叩く。
そう、私が気になる点はそこなのだ。あれほど私たちに自分の方から戦力外発言を繰り返していたセネカさんが平然と無傷状態のテーブルを前に椅子に座っているのだから。
もしかして、ひょっとするとセネカさんは……?
するとその様子を見ていたミラージュがジロリとセネカさんを睨みつけた。
「お父様……もしやとは思いますが……」
「な、何だい? ミラージュ」
ミラージュに睨まれ、セネカさんの表情に焦りが見える。
「ひょっとして、ひょっとすると……よもやドラゴンの力が戻ったのではありませんか?」
「ギクッ!」
セネカさんの顔に明らかな狼狽している。
「あ、やっぱりミラージュもそう思う?」
「ええ、勿論ですわ。何しろ私の必殺技を喰らっても無傷でいられたのは過去においてレベッカ様しかいらっしゃいませんでしたから。それなのにお父様は平然とここにいる……」
「ミラージュの必殺技を受けても平気なのはやはり同じドラゴンの力を持っているからではありませんか?」
私もセネカさんに尋ねた。
「さ、さあ……わ、私には何のことだか……」
ダラダラ冷や汗をかきながら視線を泳がせるセネカさんにとうとうミラージュはブチ切れた。
「お父様! 正直に話さないとこのパーティーメンバーから追い出しますよ!」
「す、すまない! ミラージュ! 本当のことを言うからそれだけは勘弁してくれ!」
セネカさんは地面に頭を擦りつけると必死になって懇願してきた。
「さぁ……それでは素直に話していただきましょうか?」
ミラージュは腕組みした。
「わ、分かったよ……じ、実は……もう今朝からドラゴンの力が戻っていたのだよ。ただ、昨夜の料理の味が忘れられず、力を戻す為にはごちそうを沢山食べなければいけないと訴えるつもりだったのだ……。そこであんな嘘を……」
「はぁっ!? そ、それでは料理を沢山食べたい為に、そんなどうでも良い嘘をついたわけですかっ?」
「そ、そうです……」
「ふざけないで下さいっ! お父様のせいで私は無駄な破壊行動をしてしまったではありませんか!」
「すまない! だ、だからこれからは君たちの役に立てるように力を貸すことを約束するからどうか許しておくれ!」
ペコペコ頭を下げるセネカさんを見ていられなくなった。これ以上偉大なドラゴンのイメージが私の中で崩れていくのを見るのだけはいただけない。
そこでミラージュに声をかけた。
「まぁ落ち着いて頂戴、ミラージュ。ともかくまずこの状態を元に戻さなくちゃ。今から時間を巻き戻すから協力してね?」
「ええ、勿論ですわ」
ミラージュが頷く。
「よし、それじゃいくわよ……」
そして私は目を閉じると時間が巻き戻るように祈りを込めた――