<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 4 (母を求めて?千里? 18)
「う~ん……」
口の中に美味しい味が広がり、私はふと目が覚めた。
すると私をのぞき込んでいる8つの目が眼前にあるではないか。
「キ……キャアアアアアアアッ!!」
驚きのあまり、私は叫んでいた――
****
「全く驚いたよ。レベッカがあんなに大きな悲鳴を上げるとは思いもしなかったよ」
私が食事をしている隣の席に座るサミュエル王子が苦笑した。
「ほ、本当にすみません……かなり驚いて、ついあんな大きな叫び声をあげてしまいました」
そしてはちみつがたっぷりかかったスコーンを口に入れた。
モグモグ……ごっくん。
うん、美味しい。
「いやぁ……それにしても見事だったねぇ? まさかレベッカ様にあんなすごい力があるなんて」
セネカさんがニコニコしながら私の力のことについて触れてきた。
ど、どうしようっ!
サミュエル王子には私の正体も力のことについても内緒にしているのに、うっかりセネカさんに口止めするのを忘れていた。
「え? 凄い力? それって一体何の事ですか?」
サミュエル王子がセネカさんに尋ねてきた。
ああっ! や、やっぱりサミュエル王子が私の力についての話に興味を持ってしまった!
「あれ? 君は知らないのかい? レベッカ様はなんと時間を巻き戻……ぐはっ!」
突然セネカさんが上を向いて叫んだ。その眼には薄っすら涙さえ浮かべながら。
「ミ、ミラージュ……一体今のは……? な、何故私の足を……か、かかとで……」
「あら? お父様。すみません。まさかそんなところに足があるとは思ってもいませんでしたので」
ナイスッ! ミラージュッ!
「くぅ~……!」
セネカさんの目に涙が浮かぶ。恐らく相当痛いに違いない。
それはそうだろう。何しろミラージュの本性はドラゴンなのだ。本気になれば恐らく体長30mほどの巨大ドラゴンにだって変身することが出来る…‥はずだ。
けれど流石はドラゴンの力を取り戻したセネカさん。
普通の人間がミラージュに思い切り足を踏まれようものなら身体ごと地面にめり込んでいただろう。それをただ涙目で痛みを堪えるだけで済んでいるのだから。
「大丈夫ですか? セネカさん」
ナージャさんが分厚いハムステーキを切りながらセネカさんに声をかけた。
「あ、ああ……こ、これくらいはへっちゃら……だよ……」
青ざめた顔で返事をするセネカさん。
すると再びサミュエル王子が尋ねてきた。
「そう言えば、レベッカ。先ほど君の力についての話だけど……」
何とサミュエル王子が再びその話を蒸し返してきた。
ま、まずい! こうなったら……!
ガッ!
私は両手でサミュエル王子の顔を挟み込み、ぐぐぐっと顔を近づけた。
「レベッカ様!? い、一体何をするのですかっ!?」
ナージャさんの驚きの声が上がる。
「レ、レベッカ……な、何を……」
サミュエル王子が真っ赤な顔で私を見つめ……目を閉じた。
「駄目です、サミュエル王子。目を開けて頂けますか?」
「え!? 目、目を開けたままするのかい!?」
サミュエル王子の声がひきつる。
「ええ、そうです。目を開けたままです」
そう、目を開けておいてくれないと……催眠暗示をかけられないから!
「わ、分かった……」
ますます顔を赤くするサミュエル王子。一体何故赤くなっているのだろう?
でも今私がするべきことは……。
「私の『力』についての話は……忘れて下さい」
サミュエル王子に暗示をかけた。
「あ……」
サミュエル王子は一瞬目を大きく見開き……。
コテンと目を閉じ、机の上に突っ伏して眠ってしまった――
口の中に美味しい味が広がり、私はふと目が覚めた。
すると私をのぞき込んでいる8つの目が眼前にあるではないか。
「キ……キャアアアアアアアッ!!」
驚きのあまり、私は叫んでいた――
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「全く驚いたよ。レベッカがあんなに大きな悲鳴を上げるとは思いもしなかったよ」
私が食事をしている隣の席に座るサミュエル王子が苦笑した。
「ほ、本当にすみません……かなり驚いて、ついあんな大きな叫び声をあげてしまいました」
そしてはちみつがたっぷりかかったスコーンを口に入れた。
モグモグ……ごっくん。
うん、美味しい。
「いやぁ……それにしても見事だったねぇ? まさかレベッカ様にあんなすごい力があるなんて」
セネカさんがニコニコしながら私の力のことについて触れてきた。
ど、どうしようっ!
サミュエル王子には私の正体も力のことについても内緒にしているのに、うっかりセネカさんに口止めするのを忘れていた。
「え? 凄い力? それって一体何の事ですか?」
サミュエル王子がセネカさんに尋ねてきた。
ああっ! や、やっぱりサミュエル王子が私の力についての話に興味を持ってしまった!
「あれ? 君は知らないのかい? レベッカ様はなんと時間を巻き戻……ぐはっ!」
突然セネカさんが上を向いて叫んだ。その眼には薄っすら涙さえ浮かべながら。
「ミ、ミラージュ……一体今のは……? な、何故私の足を……か、かかとで……」
「あら? お父様。すみません。まさかそんなところに足があるとは思ってもいませんでしたので」
ナイスッ! ミラージュッ!
「くぅ~……!」
セネカさんの目に涙が浮かぶ。恐らく相当痛いに違いない。
それはそうだろう。何しろミラージュの本性はドラゴンなのだ。本気になれば恐らく体長30mほどの巨大ドラゴンにだって変身することが出来る…‥はずだ。
けれど流石はドラゴンの力を取り戻したセネカさん。
普通の人間がミラージュに思い切り足を踏まれようものなら身体ごと地面にめり込んでいただろう。それをただ涙目で痛みを堪えるだけで済んでいるのだから。
「大丈夫ですか? セネカさん」
ナージャさんが分厚いハムステーキを切りながらセネカさんに声をかけた。
「あ、ああ……こ、これくらいはへっちゃら……だよ……」
青ざめた顔で返事をするセネカさん。
すると再びサミュエル王子が尋ねてきた。
「そう言えば、レベッカ。先ほど君の力についての話だけど……」
何とサミュエル王子が再びその話を蒸し返してきた。
ま、まずい! こうなったら……!
ガッ!
私は両手でサミュエル王子の顔を挟み込み、ぐぐぐっと顔を近づけた。
「レベッカ様!? い、一体何をするのですかっ!?」
ナージャさんの驚きの声が上がる。
「レ、レベッカ……な、何を……」
サミュエル王子が真っ赤な顔で私を見つめ……目を閉じた。
「駄目です、サミュエル王子。目を開けて頂けますか?」
「え!? 目、目を開けたままするのかい!?」
サミュエル王子の声がひきつる。
「ええ、そうです。目を開けたままです」
そう、目を開けておいてくれないと……催眠暗示をかけられないから!
「わ、分かった……」
ますます顔を赤くするサミュエル王子。一体何故赤くなっているのだろう?
でも今私がするべきことは……。
「私の『力』についての話は……忘れて下さい」
サミュエル王子に暗示をかけた。
「あ……」
サミュエル王子は一瞬目を大きく見開き……。
コテンと目を閉じ、机の上に突っ伏して眠ってしまった――