<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカを探せ 4 〜キング一家の旅 5
「あれ……? いないな……? あいつ等一体何処へ行ったんだ?」
先程の馬車を止めておいた場所に戻ると、木の下に手綱をくくりつけられた馬に荷馬車はあるものの肝心の2人の姿が見当たらない。
「チッ! 何処へ消えたんだ? 全く世話焼かせやがって」
本来ならあんな奴らは捨て置きたいところだが、あの2人はレベッカを狙っている。それを阻止するには嫌でも奴らと行動を共にするしかない。
何故かあの2人は結託しているようだからな。
「全く……国にいた頃は王位継承問題で、あいつらは対立していたはずなのに国が滅んでからはレベッカを狙って結託するなんておかしな話だ……」
ブツブツ呟きながら、馬車が停めてあった付近を探すことにした。
****
「くっそ〜……いないな……一体何処へ行ったんだ?」
『ラメール』の町は景観を良くする為か、石畳も建物も何もかもが真っ白で似たような建物ばかりで、区別がつきにくい。
挙げ句に眩しい太陽の照り返しで眩しくて仕方がない。
「こんなことなら無理矢理にでも一緒に行動させるべきだった……くそっ! 何で俺だけがいつもいつもこんな目に遭わなければならないんだ!」
心のなかで変態親父とクズ兄貴のありとあらゆる文句を呟きながら、町中を探し回り……ついに2人を発見した。
あろうことか、2人はオープンデッキでうまそうに食事をしていやがったのだ。
「あっ! お前ら2人ともそんな所でなにしてやがるっ! その店はグルメ雑誌で紹介された事のある有名なシーフードレストランで値段だってそこそこするんだぞっ! 人が汗を流しながら探し回っているというのに、平気で優雅に食事なんぞしやがって!!」
ズカズカと2人に近づくと、俺は一気にまくしたてた。
「全く、相変わらずうるさい息子だのう……」
ロリコン親父がイカスミパスタをクルクルとフォークに巻き付け、口に入れた。
「本当だよ、通りで大声を出していると周囲から白い目で見られるじゃないか。全く恥ずかしくないのかい?」
クズ兄貴は丸々と肥え太ったエビのボイルをフォークでうまそうに食ってやがる。
「こらっ! お前たち、今自分たちが食べてる食事が一体いくらするか知ってるのか!? いや、それよりそんな金、何処から出したんだっ!」
この2人は殆ど金を持ってなかったはずだ。少し前までは阿呆兄貴はレベッカの加護のお陰だと言って鉱石を幾つか持っていたが、それらは全て現金化されて今は何一つ手持ちの金が無いはずだ。
となると……。
「お、おい……まさかとは思うがその金は……?」
震えながら尋ねた。
「ああ、この金はお前が預かっている金で食事をしているのだが?」
「そうだよ。全くアレックスは僕達皆の金を独り占めするなんて。一緒に旅をしている家族なんだから分け合うのは当然だろう?」
クズ兄貴がとんでもないことを言った。
「な、何だって……!? おいっ! その金はなぁ、俺がグルメ雑誌に乗せる記事を書いた原稿料なんだっ! 人の稼いだ金を盗んで勝手に使いやがって……!! ふざけるなーっ!!」
俺の怒声が青い空に響き渡った――
先程の馬車を止めておいた場所に戻ると、木の下に手綱をくくりつけられた馬に荷馬車はあるものの肝心の2人の姿が見当たらない。
「チッ! 何処へ消えたんだ? 全く世話焼かせやがって」
本来ならあんな奴らは捨て置きたいところだが、あの2人はレベッカを狙っている。それを阻止するには嫌でも奴らと行動を共にするしかない。
何故かあの2人は結託しているようだからな。
「全く……国にいた頃は王位継承問題で、あいつらは対立していたはずなのに国が滅んでからはレベッカを狙って結託するなんておかしな話だ……」
ブツブツ呟きながら、馬車が停めてあった付近を探すことにした。
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「くっそ〜……いないな……一体何処へ行ったんだ?」
『ラメール』の町は景観を良くする為か、石畳も建物も何もかもが真っ白で似たような建物ばかりで、区別がつきにくい。
挙げ句に眩しい太陽の照り返しで眩しくて仕方がない。
「こんなことなら無理矢理にでも一緒に行動させるべきだった……くそっ! 何で俺だけがいつもいつもこんな目に遭わなければならないんだ!」
心のなかで変態親父とクズ兄貴のありとあらゆる文句を呟きながら、町中を探し回り……ついに2人を発見した。
あろうことか、2人はオープンデッキでうまそうに食事をしていやがったのだ。
「あっ! お前ら2人ともそんな所でなにしてやがるっ! その店はグルメ雑誌で紹介された事のある有名なシーフードレストランで値段だってそこそこするんだぞっ! 人が汗を流しながら探し回っているというのに、平気で優雅に食事なんぞしやがって!!」
ズカズカと2人に近づくと、俺は一気にまくしたてた。
「全く、相変わらずうるさい息子だのう……」
ロリコン親父がイカスミパスタをクルクルとフォークに巻き付け、口に入れた。
「本当だよ、通りで大声を出していると周囲から白い目で見られるじゃないか。全く恥ずかしくないのかい?」
クズ兄貴は丸々と肥え太ったエビのボイルをフォークでうまそうに食ってやがる。
「こらっ! お前たち、今自分たちが食べてる食事が一体いくらするか知ってるのか!? いや、それよりそんな金、何処から出したんだっ!」
この2人は殆ど金を持ってなかったはずだ。少し前までは阿呆兄貴はレベッカの加護のお陰だと言って鉱石を幾つか持っていたが、それらは全て現金化されて今は何一つ手持ちの金が無いはずだ。
となると……。
「お、おい……まさかとは思うがその金は……?」
震えながら尋ねた。
「ああ、この金はお前が預かっている金で食事をしているのだが?」
「そうだよ。全くアレックスは僕達皆の金を独り占めするなんて。一緒に旅をしている家族なんだから分け合うのは当然だろう?」
クズ兄貴がとんでもないことを言った。
「な、何だって……!? おいっ! その金はなぁ、俺がグルメ雑誌に乗せる記事を書いた原稿料なんだっ! 人の稼いだ金を盗んで勝手に使いやがって……!! ふざけるなーっ!!」
俺の怒声が青い空に響き渡った――