<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカを探せ 4 〜キング一家の旅 9
その後もオンボロ船で大海原を超える旅は続いた。
途中、外洋のど真ん中で台風に遭った時は本当にヤバかった。マジで海の藻屑になるところだった。ヘタレ兄貴と変態親父は、マストにしがみついて泣き喚く。
その傍で俺は甲板にたまった海水を掻き出し、ロープで荷物を固定し……命の危険も顧みず、必死で働き続けて船の沈没を防ぐことに成功した。
そしてこの功績を海賊船帳、並びに船員たちが称賛し……俺はこの『ヴィーナス』号にとって、欠かせない存在になっていた――
****
『ラメール』の港を出向して10日後――
「野郎どもーっ! 陸が見えたぞーっ!! 準備に取り掛かれっ!!」
海賊船長のどら声が空に響き渡る。
『おうっ!!』
ガラの悪い船員たちが一斉に頷き、船を停泊させる準備を始めた。
錨を下ろす準備や、ロープを解く船員たち。
そして船酔いでだらしなく伸びているのは言うまでもないクズ兄貴とロリコン親父だ。
俺も船員たちにならい、停泊準備を進めながら1人心の中でほくそ笑んでいた。
しめしめ……奴ら、未だに船酔いで完全に伸びている。
この様子なら、恐らく下船しても体調が悪い状態が暫く続くだろう。
そのすきに荷台と馬を奪って、こいつらから離脱するんだ。
彼奴等と旅を続け、最近になってようやく気付いたことがある。それはあの2人は俺がいなければ、何も出来ないのだ。
本当にあの2人は情けない。
馬車を操ることも出来なければ、俺のように自分たちで金を稼ぐ手段すら持っていない。
そう、どうやら俺は気づくのが遅すぎたようだ。
彼奴等と行動することでレベッカを2人の魔の手から守ってやろうと思っていたのだが、奴等はそうでは無かったのだ。
自分たちだけでは生きていく力が無いので、図々しくも俺のヒモになって過酷な旅を楽して続けていこうと考えていたのだ。
「クククク……そうやって無様に伸びていろよ……。彼奴等、陸に降りたら驚くぞ……」
陸に降りて、荷馬車もろとも姿をくらます。
その時の慌てた2人の姿を想像するだけで、笑いがこみ上げそうになってきた。
****
「よーし野郎どもっ! 陸に到着したぞっ!! 錨を下ろせっ!! 帆を下げろっ!」
港に到着した『ヴィクトリア』号に再び海賊船長のどら声が響き渡る。
船員たちはせわしなく下船準備をし、相変わらず甲板に伸びているクソ兄貴とロリコン親父をその場に残して、俺は馬が繋がれているはずの貨物室へ向った。
「何っ!? う、嘘だろうっ!!」
貨物室へ行った俺は驚きの余り、思考が一瞬停止した。
何故なら、そこに繋がれていたはずの愛馬「デロリアン」の姿は愚か、荷車迄消えているのだ。
これは一体どういうことだっ!?
俺は急いで海賊船長の元へ向った。
「おいっ!船長っ!」
大声で呼ぶと海賊船長は驚いたように振り向いた。
「何だ? お前か? どうした? そんなに興奮した様子で」
「これが興奮せずにいられるかっ! 俺の愛馬は……「デロリアン」は一体何処へ消えたっ!?」
すると海賊船長から恐ろしいセリフが飛び出した。
「馬…?ああ、あの馬か?とっくにいないぞ?」
「何?いないっ?!どういうことだっ!!」
「ああ、売り払ったんだよ。ほら、そこにいるお前の仲間の許可を得てな」
海賊船長はあろうことか、甲板で伸びているクズ兄貴と変態親父を指さした――
途中、外洋のど真ん中で台風に遭った時は本当にヤバかった。マジで海の藻屑になるところだった。ヘタレ兄貴と変態親父は、マストにしがみついて泣き喚く。
その傍で俺は甲板にたまった海水を掻き出し、ロープで荷物を固定し……命の危険も顧みず、必死で働き続けて船の沈没を防ぐことに成功した。
そしてこの功績を海賊船帳、並びに船員たちが称賛し……俺はこの『ヴィーナス』号にとって、欠かせない存在になっていた――
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『ラメール』の港を出向して10日後――
「野郎どもーっ! 陸が見えたぞーっ!! 準備に取り掛かれっ!!」
海賊船長のどら声が空に響き渡る。
『おうっ!!』
ガラの悪い船員たちが一斉に頷き、船を停泊させる準備を始めた。
錨を下ろす準備や、ロープを解く船員たち。
そして船酔いでだらしなく伸びているのは言うまでもないクズ兄貴とロリコン親父だ。
俺も船員たちにならい、停泊準備を進めながら1人心の中でほくそ笑んでいた。
しめしめ……奴ら、未だに船酔いで完全に伸びている。
この様子なら、恐らく下船しても体調が悪い状態が暫く続くだろう。
そのすきに荷台と馬を奪って、こいつらから離脱するんだ。
彼奴等と旅を続け、最近になってようやく気付いたことがある。それはあの2人は俺がいなければ、何も出来ないのだ。
本当にあの2人は情けない。
馬車を操ることも出来なければ、俺のように自分たちで金を稼ぐ手段すら持っていない。
そう、どうやら俺は気づくのが遅すぎたようだ。
彼奴等と行動することでレベッカを2人の魔の手から守ってやろうと思っていたのだが、奴等はそうでは無かったのだ。
自分たちだけでは生きていく力が無いので、図々しくも俺のヒモになって過酷な旅を楽して続けていこうと考えていたのだ。
「クククク……そうやって無様に伸びていろよ……。彼奴等、陸に降りたら驚くぞ……」
陸に降りて、荷馬車もろとも姿をくらます。
その時の慌てた2人の姿を想像するだけで、笑いがこみ上げそうになってきた。
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「よーし野郎どもっ! 陸に到着したぞっ!! 錨を下ろせっ!! 帆を下げろっ!」
港に到着した『ヴィクトリア』号に再び海賊船長のどら声が響き渡る。
船員たちはせわしなく下船準備をし、相変わらず甲板に伸びているクソ兄貴とロリコン親父をその場に残して、俺は馬が繋がれているはずの貨物室へ向った。
「何っ!? う、嘘だろうっ!!」
貨物室へ行った俺は驚きの余り、思考が一瞬停止した。
何故なら、そこに繋がれていたはずの愛馬「デロリアン」の姿は愚か、荷車迄消えているのだ。
これは一体どういうことだっ!?
俺は急いで海賊船長の元へ向った。
「おいっ!船長っ!」
大声で呼ぶと海賊船長は驚いたように振り向いた。
「何だ? お前か? どうした? そんなに興奮した様子で」
「これが興奮せずにいられるかっ! 俺の愛馬は……「デロリアン」は一体何処へ消えたっ!?」
すると海賊船長から恐ろしいセリフが飛び出した。
「馬…?ああ、あの馬か?とっくにいないぞ?」
「何?いないっ?!どういうことだっ!!」
「ああ、売り払ったんだよ。ほら、そこにいるお前の仲間の許可を得てな」
海賊船長はあろうことか、甲板で伸びているクズ兄貴と変態親父を指さした――