<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカを探せ 4 〜キング一家の旅 12
あの後、俺は必死になって宿屋を探し回るのに奔走し……ようやく格安で宿泊できそうな宿屋を探し出すことができた。
宿泊先の宿屋の名前は『マーメイドの館』という旅館だった――
**
「旅館名にマーメイドという名前が付けられているくらいなのだから、さぞかし美人が経営しているのかもしれんのう」
案内する俺の後ろを歩きながら変態親父がだらしなく口元を緩めている。
「うん、そうだね。これはちょっと期待してもいいかもね」
クソ兄貴もロリコン親父に同意している。
全く……コイツらは一体何なんだ?
あれほど「レベッカ、レベッカ」と騒いでおきながら、色々な女に目移りしやがって。
その点、俺を見てみろ。
レベッカ一筋、他の女になぞ目もくれていないのだから。
それはまぁ、確かに城で暮らしていた時はレベッカという最高の妻がいながら、色々な女に手を出してしまった過去はあるが……それはもう過ぎたことだ。
この3人の中で一番実直な人間は恐らくこの俺だろう。
うん、そうに決まっている。
それにしても……。
俺は心の中でほくそ笑んだ。
奴等、宿屋に到着したら驚くだろう。宿屋のネーミングから女将がものすごい美女だとすっかり思い込んでいる。
だが実際は違うのだから。
実際の女将を目にした時の2人の反応を想像すると、奴等に脅迫されてるが故の不快な気分も何処かへ吹き飛んでいた。
「2人とも、今夜の宿は期待していろよっ!?」
俺は振り向き、奴等に声をかけ、わざと思わせぶりな態度を取った。
「おお? そうか! よくやったぞアレックスや」
「ふ〜ん。そこまで言い切るなら期待して良さそうだね」
嬉しそうな2人を見て心の中でほくそ笑んだ。
フハハハ……。
今のうちにせいぜい期待しておけ。その期待が大きければ大きいほど、裏切られた時の絶望は大きいのだから――
****
「いらっしゃいませっ! 3名様、お待ちしておりましたよっ!」
威勢の良い声で出迎えたのはこの『マーメイドの館』の女将だ。
年齢は……恐らく40代くらいだろう。
栗毛色の長い髪を頭のてっぺんで団子状にまとめ、その体つきは……うん。
肉付きが良い……というか、良すぎる。
二の腕なんかマッチョになった俺よりも太そうだ。体型も何となくビヤ樽を思わせるが、世の中にはデブ専もいるからな。
これはこれで良いかもしれない。
「さぁさぁ、我が旅館は海の幸を美味しく頂けますよ! 地酒もおすすめです!」
女将は愛想笑いをしながら俺たちを招き入れてくれた。
「ああ、女将。すまない」
俺も愛想笑いをし、早速殆ど荷物の入っていないナップザックを板張りの床に下ろすと、ホールの中央に置かれた席に座った。
「おい! アレックスッ! 話が違うではないかっ!」
隣に座った変態親父は早速俺に耳打ちしてきた。
「話? 何のことだ?」
「とぼけるなよ、今夜の宿は期待してろよって言ったじゃないか!」
くそったれ兄貴も文句を言ってくる。
「ああ、言ったぞ。どうだ? 期待通りだっただろう?」
「何処が期待どおりだよっ!」
「そうだっ! 親に嘘をつくのはよくないぞっ!」
2人は口々に文句を言ってくる。
「ククク……そんなの知るか。勝手に期待していたのは貴様らのほうだろう?」
どうだ、思い知ったか! クズ野郎どもめっ!
しかこの後、俺たちは期待以上の思いもかけない情報に喚起することになるのだった――
宿泊先の宿屋の名前は『マーメイドの館』という旅館だった――
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「旅館名にマーメイドという名前が付けられているくらいなのだから、さぞかし美人が経営しているのかもしれんのう」
案内する俺の後ろを歩きながら変態親父がだらしなく口元を緩めている。
「うん、そうだね。これはちょっと期待してもいいかもね」
クソ兄貴もロリコン親父に同意している。
全く……コイツらは一体何なんだ?
あれほど「レベッカ、レベッカ」と騒いでおきながら、色々な女に目移りしやがって。
その点、俺を見てみろ。
レベッカ一筋、他の女になぞ目もくれていないのだから。
それはまぁ、確かに城で暮らしていた時はレベッカという最高の妻がいながら、色々な女に手を出してしまった過去はあるが……それはもう過ぎたことだ。
この3人の中で一番実直な人間は恐らくこの俺だろう。
うん、そうに決まっている。
それにしても……。
俺は心の中でほくそ笑んだ。
奴等、宿屋に到着したら驚くだろう。宿屋のネーミングから女将がものすごい美女だとすっかり思い込んでいる。
だが実際は違うのだから。
実際の女将を目にした時の2人の反応を想像すると、奴等に脅迫されてるが故の不快な気分も何処かへ吹き飛んでいた。
「2人とも、今夜の宿は期待していろよっ!?」
俺は振り向き、奴等に声をかけ、わざと思わせぶりな態度を取った。
「おお? そうか! よくやったぞアレックスや」
「ふ〜ん。そこまで言い切るなら期待して良さそうだね」
嬉しそうな2人を見て心の中でほくそ笑んだ。
フハハハ……。
今のうちにせいぜい期待しておけ。その期待が大きければ大きいほど、裏切られた時の絶望は大きいのだから――
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「いらっしゃいませっ! 3名様、お待ちしておりましたよっ!」
威勢の良い声で出迎えたのはこの『マーメイドの館』の女将だ。
年齢は……恐らく40代くらいだろう。
栗毛色の長い髪を頭のてっぺんで団子状にまとめ、その体つきは……うん。
肉付きが良い……というか、良すぎる。
二の腕なんかマッチョになった俺よりも太そうだ。体型も何となくビヤ樽を思わせるが、世の中にはデブ専もいるからな。
これはこれで良いかもしれない。
「さぁさぁ、我が旅館は海の幸を美味しく頂けますよ! 地酒もおすすめです!」
女将は愛想笑いをしながら俺たちを招き入れてくれた。
「ああ、女将。すまない」
俺も愛想笑いをし、早速殆ど荷物の入っていないナップザックを板張りの床に下ろすと、ホールの中央に置かれた席に座った。
「おい! アレックスッ! 話が違うではないかっ!」
隣に座った変態親父は早速俺に耳打ちしてきた。
「話? 何のことだ?」
「とぼけるなよ、今夜の宿は期待してろよって言ったじゃないか!」
くそったれ兄貴も文句を言ってくる。
「ああ、言ったぞ。どうだ? 期待通りだっただろう?」
「何処が期待どおりだよっ!」
「そうだっ! 親に嘘をつくのはよくないぞっ!」
2人は口々に文句を言ってくる。
「ククク……そんなの知るか。勝手に期待していたのは貴様らのほうだろう?」
どうだ、思い知ったか! クズ野郎どもめっ!
しかこの後、俺たちは期待以上の思いもかけない情報に喚起することになるのだった――