<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
再び・滅亡したオーランド王国の国王と王女たちの物語 1
ここは『アトランタ』の港町の宿屋兼食堂――
神殿にお参りする多くの観光客で食堂は大混雑していた。
「はいお待ちどうっ!『アトランタ』名物、鶏の香味揚げよっ! 3番テーブルに運んで頂戴っ!」
厨房では神の舌を持つと言われているエミリーが料理の腕を振るっていた。
「3番テーブルね、分かったわっ! それより付け合せのサラダはまだなのっ!?」
エリザベスがカウンターの向こうから怒鳴りつけてきた。
「う、うるさいっ! 今やってるっ! そう急かすでないっ!」
包丁でトマトをカットしながら私は言い返した。
「口を動かすより手を動かしてちょうだいよっ! こっちは厨房とカウンター、両方で働いているんだからねっ!?」
長女のジョセフィーヌまで私に文句を言ってくる。
「わ、分かっておるっ! 今やってるだろうがっ!」
トマトをカットし終えた私は次にきゅうりに手を伸ばした。
それにしても何という忙しさなのだ。
今、我等がいるこの国は『アトランタ』と言う名の国だ。
空の上にはドラゴンの国が浮かんでいると言われ、ドラゴンを神として祀られた神殿が幾つも建てられている有名な観光スポットでもある。
それ故半端ではないほどの観光客がこの国を訪れ、何処の宿屋も食堂も人で溢れかえっていた。
それは私達親子が働いている宿屋も例外では無かった――
****
午後6時――
ようやく本日の労働が終わり、我等親子は滞在先の借家で一息ついていた。
「ううぅう……1日中重労働で腰が痛い……おい、誰か私の腰を揉んでくれないか?」
ソファに突っ伏した私は周りにいる3人の娘たちに声をかけるも誰も返事すらしない。
エミリーは新メニューを考えながら何やらテーブルの上でメモを書き綴っっているし、エリザベスは窓際に椅子を寄せてネイルの手入れをしている。
そしてジョセフィーヌは最近流行りのロマンス小説をエミリーの隣で読むのに必死だ。
「おい……誰か腰を揉んでくれと言ってるのが聞こえないのか?」
「う〜ん……味のアクセントには何を足せば良いかしら……バター? それともハーブがいいかしら……」
「フフフ……今日はいつもよりもネイルの調子がいいわ……」
「こ、この先どうなってしまうのかしら……ハラハラするわ……」
3人の娘たちはわざとらしい態度で私の訴えを無視している。
「おいっ! 娘たちっ! 聞こえているのかっ! 誰か腰を揉んでくれっ!」
ヤケクソになって声を張り上げた。
「「「イヤよっ!!!」」」
何と、3人が声を揃えて拒否をしてきた。
「な、何と薄情な娘たちなのだ……ああ、やはりレベッカをあんなクズで下半身が緩みきっているろくでなし男の嫁にやらなければよかった……」
そしてサイドテーブルの上においておいたワイン瓶に手を伸ばし……。
「なんとっ! 空っぽではないかっ! わ、私のワインが……ワインがぁっ!!」
思わずショックで喚いてしまった。
「あ〜っ! もう煩いわねっ! 毎晩毎晩レベッカレベッカとメソメソ泣いてワインを飲んで……このアル中っ!」
何と! 娘たちの中で一番大酒飲みのジョセフィーヌにアル中呼ばわりされてしまった。
「それより、いつになったらレベッカを探す旅に出るのよっ! 大体何故こんな国へやってきたわけっ!」
エリザベスヒステリックに叫んだ。
「おおっ! よくぞ尋ねてくれたなエリザベスよっ! お前たちはミラージュのことは覚えておるだろう?」
「「「ミラージュ……???」」」
娘たちは首を傾げた――
神殿にお参りする多くの観光客で食堂は大混雑していた。
「はいお待ちどうっ!『アトランタ』名物、鶏の香味揚げよっ! 3番テーブルに運んで頂戴っ!」
厨房では神の舌を持つと言われているエミリーが料理の腕を振るっていた。
「3番テーブルね、分かったわっ! それより付け合せのサラダはまだなのっ!?」
エリザベスがカウンターの向こうから怒鳴りつけてきた。
「う、うるさいっ! 今やってるっ! そう急かすでないっ!」
包丁でトマトをカットしながら私は言い返した。
「口を動かすより手を動かしてちょうだいよっ! こっちは厨房とカウンター、両方で働いているんだからねっ!?」
長女のジョセフィーヌまで私に文句を言ってくる。
「わ、分かっておるっ! 今やってるだろうがっ!」
トマトをカットし終えた私は次にきゅうりに手を伸ばした。
それにしても何という忙しさなのだ。
今、我等がいるこの国は『アトランタ』と言う名の国だ。
空の上にはドラゴンの国が浮かんでいると言われ、ドラゴンを神として祀られた神殿が幾つも建てられている有名な観光スポットでもある。
それ故半端ではないほどの観光客がこの国を訪れ、何処の宿屋も食堂も人で溢れかえっていた。
それは私達親子が働いている宿屋も例外では無かった――
****
午後6時――
ようやく本日の労働が終わり、我等親子は滞在先の借家で一息ついていた。
「ううぅう……1日中重労働で腰が痛い……おい、誰か私の腰を揉んでくれないか?」
ソファに突っ伏した私は周りにいる3人の娘たちに声をかけるも誰も返事すらしない。
エミリーは新メニューを考えながら何やらテーブルの上でメモを書き綴っっているし、エリザベスは窓際に椅子を寄せてネイルの手入れをしている。
そしてジョセフィーヌは最近流行りのロマンス小説をエミリーの隣で読むのに必死だ。
「おい……誰か腰を揉んでくれと言ってるのが聞こえないのか?」
「う〜ん……味のアクセントには何を足せば良いかしら……バター? それともハーブがいいかしら……」
「フフフ……今日はいつもよりもネイルの調子がいいわ……」
「こ、この先どうなってしまうのかしら……ハラハラするわ……」
3人の娘たちはわざとらしい態度で私の訴えを無視している。
「おいっ! 娘たちっ! 聞こえているのかっ! 誰か腰を揉んでくれっ!」
ヤケクソになって声を張り上げた。
「「「イヤよっ!!!」」」
何と、3人が声を揃えて拒否をしてきた。
「な、何と薄情な娘たちなのだ……ああ、やはりレベッカをあんなクズで下半身が緩みきっているろくでなし男の嫁にやらなければよかった……」
そしてサイドテーブルの上においておいたワイン瓶に手を伸ばし……。
「なんとっ! 空っぽではないかっ! わ、私のワインが……ワインがぁっ!!」
思わずショックで喚いてしまった。
「あ〜っ! もう煩いわねっ! 毎晩毎晩レベッカレベッカとメソメソ泣いてワインを飲んで……このアル中っ!」
何と! 娘たちの中で一番大酒飲みのジョセフィーヌにアル中呼ばわりされてしまった。
「それより、いつになったらレベッカを探す旅に出るのよっ! 大体何故こんな国へやってきたわけっ!」
エリザベスヒステリックに叫んだ。
「おおっ! よくぞ尋ねてくれたなエリザベスよっ! お前たちはミラージュのことは覚えておるだろう?」
「「「ミラージュ……???」」」
娘たちは首を傾げた――