<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 1 (カタルパ編 6)
カランカラン
木製のドアを開けると、前回も私たちをもてなしてくれたお店の女将さんが笑顔で私たちを招き入れてくれた。
「いらっしゃいませー。お好きなお席におかけ下さい」
この村で唯一の宿屋兼、食堂に私たちはやってきたのだ。宿屋の名前は『木こり亭』という名前だけのことはあり、壁も床も天井も全てぬくもりのある木で作られている。
木製テーブルセットに座ると、すぐにおかみさんが黒板に書かれたメニューを持って私たちの元へとやってきた。
「どのメニューになさいますか?」
しかし、私たちの注文するメニューは決まっている。そこで私はちょっとキザに注文してみた。手を組み、顎を乗せると言った。
「おかみさん。いつものをお願い」
「「「……は?」」」
何故か3人が私を見て口をぽかんと開けている。3人とも私を見る目が語っている。
<一体この人物は突然何を言いだすのだろう?>と。
「あの~お客様。ひょっとして以前にもこちらの店をご利用されたことがあるのでしょうか……? 申し訳ございません。記憶になかったものでして……」
するとおかみさんが謝ってきた。
「え?」
なんと、私を覚えていなかったとは! 途端に羞恥で顔が真っ赤に染まる。そんな私の様子を見ておかみさんが慌てたように弁明する。
「も、申し訳ございませんっ! 最近この村を出入りする若者が増えまして、顔を覚えきれなかったのです。大変失礼致しましたっ!」
「そうですよ、レベッカ様。お店の人は忙しいですから」
「そうそう、気にすることは無いんだよ? その代わり俺はどんなに大勢人がひしめきあっている場所だって、必ずレベッカを見つける自信はあるからね?」
挙句にミラージュとサミュエル王子にまで気を使わせてしまった。
「そ、それで……皆様は何になさいますか……?」
「ええ。もちろんこの村の名物<森の木こりの料理>を3人前お願いします」
「え……? あ、あの料理は……」
すると何故かおかみさんの表情が突然曇った。
「あら? どうかしましたか?」
ミラージュに尋ねられるもおかみさんは引きつった笑みを浮かべる。
「い、いえ。なんでもありません。<森の木こりの料理>ですね? お待ち下さい」
そしてそそくさと去って行った。
「……?」
今のは一体何だったのだろう?
「お待たせ致しました」
その後、3人でたわいもない話をしていると、おかみさんが3人分の料理をワゴンに乗せてやってきた。
「こちらがこの村の名物料理<森の木こりの料理>でございます」
そしてお盆に乗った料理を私たちの前に置いていく。
「それではごゆっくりどうぞ」
おかみさんは、そそくさとワゴンを押して去って行った。そして私たちの前にはホカホカと湯気の立つ美味しそうな料理が置かれている。
木のどんぶりに入った野菜たっぷりのホワイトシチュー。野菜のグリルハーブ添えに焼きたてコッペパンにメインデッシュのステーキ……。
「あれ……?」
その時、私はあることに気が付いた。気のせいだろうか? 香りが前に食べた時と何だか違うような……?
「まあ……とてもおいしそうですね!」
「本当だ。このステーキは肉汁があふれているぞ」
ミラージュもサミュエル王子も嬉しそうだ。だけど私は何となく違和感を抱いていた。
「どうしましたか? レベッカ様」
「食べないのかい?」
2人が不思議そうな顔をして私を見る。
「あ、うううん。食べるわ。おいしそうよね?」
そして私たちは思い思いの料理に口をつけた。ミラージュはシチュー。私はグリル野菜、サミュエル王子はメインディッシュのステーキを口に入れたのだが……。
「「「!?」」」
私たちはそれを口にした途端、その微妙な味付けに戸惑った――
木製のドアを開けると、前回も私たちをもてなしてくれたお店の女将さんが笑顔で私たちを招き入れてくれた。
「いらっしゃいませー。お好きなお席におかけ下さい」
この村で唯一の宿屋兼、食堂に私たちはやってきたのだ。宿屋の名前は『木こり亭』という名前だけのことはあり、壁も床も天井も全てぬくもりのある木で作られている。
木製テーブルセットに座ると、すぐにおかみさんが黒板に書かれたメニューを持って私たちの元へとやってきた。
「どのメニューになさいますか?」
しかし、私たちの注文するメニューは決まっている。そこで私はちょっとキザに注文してみた。手を組み、顎を乗せると言った。
「おかみさん。いつものをお願い」
「「「……は?」」」
何故か3人が私を見て口をぽかんと開けている。3人とも私を見る目が語っている。
<一体この人物は突然何を言いだすのだろう?>と。
「あの~お客様。ひょっとして以前にもこちらの店をご利用されたことがあるのでしょうか……? 申し訳ございません。記憶になかったものでして……」
するとおかみさんが謝ってきた。
「え?」
なんと、私を覚えていなかったとは! 途端に羞恥で顔が真っ赤に染まる。そんな私の様子を見ておかみさんが慌てたように弁明する。
「も、申し訳ございませんっ! 最近この村を出入りする若者が増えまして、顔を覚えきれなかったのです。大変失礼致しましたっ!」
「そうですよ、レベッカ様。お店の人は忙しいですから」
「そうそう、気にすることは無いんだよ? その代わり俺はどんなに大勢人がひしめきあっている場所だって、必ずレベッカを見つける自信はあるからね?」
挙句にミラージュとサミュエル王子にまで気を使わせてしまった。
「そ、それで……皆様は何になさいますか……?」
「ええ。もちろんこの村の名物<森の木こりの料理>を3人前お願いします」
「え……? あ、あの料理は……」
すると何故かおかみさんの表情が突然曇った。
「あら? どうかしましたか?」
ミラージュに尋ねられるもおかみさんは引きつった笑みを浮かべる。
「い、いえ。なんでもありません。<森の木こりの料理>ですね? お待ち下さい」
そしてそそくさと去って行った。
「……?」
今のは一体何だったのだろう?
「お待たせ致しました」
その後、3人でたわいもない話をしていると、おかみさんが3人分の料理をワゴンに乗せてやってきた。
「こちらがこの村の名物料理<森の木こりの料理>でございます」
そしてお盆に乗った料理を私たちの前に置いていく。
「それではごゆっくりどうぞ」
おかみさんは、そそくさとワゴンを押して去って行った。そして私たちの前にはホカホカと湯気の立つ美味しそうな料理が置かれている。
木のどんぶりに入った野菜たっぷりのホワイトシチュー。野菜のグリルハーブ添えに焼きたてコッペパンにメインデッシュのステーキ……。
「あれ……?」
その時、私はあることに気が付いた。気のせいだろうか? 香りが前に食べた時と何だか違うような……?
「まあ……とてもおいしそうですね!」
「本当だ。このステーキは肉汁があふれているぞ」
ミラージュもサミュエル王子も嬉しそうだ。だけど私は何となく違和感を抱いていた。
「どうしましたか? レベッカ様」
「食べないのかい?」
2人が不思議そうな顔をして私を見る。
「あ、うううん。食べるわ。おいしそうよね?」
そして私たちは思い思いの料理に口をつけた。ミラージュはシチュー。私はグリル野菜、サミュエル王子はメインディッシュのステーキを口に入れたのだが……。
「「「!?」」」
私たちはそれを口にした途端、その微妙な味付けに戸惑った――