<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 5 (ついに…再会?! 20)
「それで奴等は今どの辺りにいるんだ?」
サミュエル王子に尋ねられても動揺している私はさっぱり分からない。
「さ、さぁ……ロミオにつかまって逃げてくるのが、もう精一杯で……」
「よし、なら私に任せなさい。私は千里眼を持っているから、レベッカ様を追っている悪い奴らがどの辺りにいるか調べてあげよう」
「え? お父様、そんな事ができるのですか?ド ラゴンの力が戻っていないのに?」
ミラージュが首を傾げる。
「何、たとえドラゴンの力が戻っていなくてもこれくらいならどうってこと無いさ」
「本当ですか? でもすごく助かりますっ! 私捕まったらどんな目に遭うか、おそろしくてたまらないんです……お願いしますっ!どうか調べてくださいっ!」
「ああ、任せなさい!」
そしてセネカさんは両目をカッと大きく見開いた。
「……うん……見える……見えるぞ。レベッカ様を狙っている不届き者3名が海から。そしてこの奥にあるジャングルで迷子になっている4名の姿がはっきり見えるぞっ!」
「え? え? ちょ、ちょっと待って下さい……な、何ですか? その海からって言うのは」
何故だか、非常に嫌な予感がした。
「そうですわよ、お父様。海から3名やってきているなんて、いい加減なことを……」
そこまで言いかけてミラージュは口を閉ざした。
「え? 誰だい? 海から3名やってきているって?」
何も分かっていないサミュエル王子が尋ねてくる。
「ひょっとして……その3名って……全員男性……ですか?」
ナージャさんの顔が青ざめて来た。
「うむ、そうだ。1名は熟年の男性で残りの2名は青年と言った風貌だな。そうそう。青年の内、1名はかなりマッチョな男だ」
「え? マッチョな男?」
セネカさんの言葉に反応する。
「ああ、そうだ。マッチョマンだ」
「マッチョマン……?」
首を傾げて考えてみるも、私の知り合いでは船乗りの人達以外のマッチョマンは覚えがない。
「あ、それじゃ海からこちらへ向かってきているって人達は私の知り合いじゃありませんよ。マッチョマンの知り合いはいませんから」
ああ、良かった。てっきりアレックス王子たちではないかと思ったけど、絶対に違うな。
アレックス王子もランス王子も全然マッチョマンじゃなかったからね。
「そうか? 私の勘違いなのだろうか……? う~ん。でもそれなら今こちらに向かってきている船は放っておこう。それよりはジャングルから向かってくる輩たちを何とかした方が良さそうだね」
何故かセネカさんは指をボキボキ鳴らした。
「よし、俺もレベッカを守る為に戦おう」
サミュエル王子は腰に差している剣に触れる。
「ええ、望むところですわ。幸い私はあの方たちにかなり恨みを持っておりますので」
「では、私も微力ながらお手伝い致しましょう」
最期にナージャさんが手を挙げた。
おおっ! 何とも頼もしいことを言ってくれる仲間達だ。
彼らがいるなら……きっと大丈夫! そこで私はお父様たちと対峙することを心に決めた――