<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 5 (母との再会 9)完
全員を黙らせると、お母様に尋ねた。
「お母様、私とこれから一ずっと緒にいて下さるのですよね?」
「ええ。勿論よ」
私に微笑むお母様。
「それなら、もうこの島は用済みですよね?」
「ええ、そうね。この島を今日出るわ。皆と一緒にね」
そして私とミラージュを交互に見つめるお母様。
<レイラ様……>
ミラージュがドラゴンの姿で感動の涙を浮かべる。
・・・…ドラゴンのミラージュが泣いている姿を見るのは初めてだ。
「分かりました、ならこれで決まりですね?」
にっこり微笑み、私は改めてお父様達や今では目にするだけで全身に鳥肌が立ちそうなキング一族をぐるりと見渡した。
「私はもうこれ以上、あなた方に世界中を追いかけ回されるのはうんざりです。そこで、決めました。あなた方には一生、この島から出ないで頂くことにしました」
そしてにっこり微笑んだ。
「な、何っ!? 一生だとっ!?」
お父様が目を見開いた。
「もがーっ! もがもがもがっ!」
一方、私の『力』で口を塞がれてしまったアレックス王子は何やら激しく文句を言っているが、何を話しているのかはさっぱり分からない。
けれど恐らく、こう言っているのだろう。
「こらーっ! ふざけるなっ!」
と。
「何を言ってるんだいレベッカ。どうやって僕たちをこの島から出ないで貰うって言うんだい? もしかすると船を取り上げようとでも言うのかな? だけど、生憎僕たちは船を持っていないよ? その辺の木を切り倒して、イカダを作ることだって出来る。閉じ込めるなんて不可能だよ」
ランス王子はぺらぺらとよく口が回るものだ。
呆れた様子で私はランス王子の話を聞いていた。
「そうだよ、レベッカや。我々を閉じ込めておくのは不可能なのだよ? それよりもそんなサミュエル王子のような若造はやめて私の所へおいで? うんと可愛がってあげるよ?」
国王はいやらしい笑みを口に浮かべている。
ゾワゾワゾワッ!
その言葉と表情にますます私は総毛立つ。
「もがーっ! もがっ!」
アレックス王子が顔を真っ赤にして視線だけ動かして国王を睨みつけた。
うん、きっと「こらーっ!親父!」とでも叫んだに違いない。
「な、何だとっ!? この変態親父めっ! 貴様のような変態に大事なレベッカに手出しさせるものかっ!」
お父様の言葉は傍から聞けば、娘想いの良い父親に取れるけれども……所詮、私から見れば同じ穴のムジナだ。
<レベッカ様。さっさと方を付けてしまいましょうよ>
ドランゴンになったミラージュが声を掛けて来た。
「ええ。そうね」
そして再び、お父様達とキング一族に視線を戻すと言い放った。
「あなた方は全員私のことを追うのを諦めない限り、一生この島に閉じこもっていてもらいますっ!」
そして私の力が発動した。
力が発動したのを確認すると私は再び彼らに話しかけた。
「私は今、あなた方に『力』を使いました。これで皆さんはこの島を脱出することが不可能になりました。私を捕えに行こうとすると、身体が硬直して動かなくなりますからね?」
その言葉に彼らは目を見張った‥・・・・けれども、文句を言う者は誰もいない。
煩いので話をすることが出来ないようにしたからだ。
「どうぞ、一生この島で暮らして下さい」
すると今まで黙って様子をうかがっていたお母様が口を開いた。
「大丈夫。住めば都と言いますよ。この島で17年間暮らしていた私が言うのですから間違いなしです」
「さすがはレベッカ様のお母様ですね」
ナージャさんがパチパチと手を叩く。
「それじゃ用も済んだことだし、そろそろ行かないかい?」
セネカさんが声をかけてきた。
<お父様。行くって何処へ行くつもりですか?>
ドラゴンのミラージュが尋ねる。
「それなら、またアマゾナさんのいる村へ行ってみましょうよ。是非アマゾナさんにお母様やナージャさんにセネカさんを紹介したいの」
<いいですね。また温泉に入りたいです>
「アマゾナさんは、レベッカの大切な人なのかしら?」
お母様が尋ねてきた。
「はい、そうなんですっ! とっても良い女性なんですよ?」
<では早速参りましょう!皆さん、私の身体に乗って下さい。もうこのまま空を飛んでいきますよ!>
ミラージュの身体が更に大きく、巨大化した。
そしてそんなミラージュを恐怖の眼差しで見つめているお父様達。
ミラージュに促され、私達は全員背中に乗った。勿論ロミオとレテオも一緒だ。
<それでは……参りますよ>
ミラージュは大きな羽を羽ばたかせると、一気に空へ舞い上がった。
「まぁ! 凄い迫力ですね!」
ナージャさんは興奮している。
「みなさ~ん! もう二度と会うことはありませんが……お元気で!」
私は一度無様な姿で静止している全員に手をふると、ミラージュに声をかけた。
「ミラージュ、行ってちょうだい」
<はい!>
そしてミラージュは空高く飛び上がり……アマゾナさんのいる村へ向かって飛び始めた。
「フフ……久しぶりの空の上は気持ちがいいわね」
お母様が笑う。
「レベッカ、アマゾナのいる村へ着いたら俺たちの結婚式を挙げないかい?」
サミュエル王子が私の耳元で囁き……思わず顔が真っ赤になる。
「やっぱり旅はいいですね〜」
旅好きのナージャさんは嬉しそうだ。
「その時は今度私がドラゴンの姿になって、乗せてあげよう」
得意げに言うセネカさん。
「今度はレベッカのお爺様に会いに行ってみましょうか?」
お母様が話しかけてくる。
「いいですね。私達の旅はまだまだ続きますから!」
私は笑顔で答え……何処までも続く青い空を見つめた。
そう。私の旅は……この青い空のように、これからも続いていくのだから――
<完>
「お母様、私とこれから一ずっと緒にいて下さるのですよね?」
「ええ。勿論よ」
私に微笑むお母様。
「それなら、もうこの島は用済みですよね?」
「ええ、そうね。この島を今日出るわ。皆と一緒にね」
そして私とミラージュを交互に見つめるお母様。
<レイラ様……>
ミラージュがドラゴンの姿で感動の涙を浮かべる。
・・・…ドラゴンのミラージュが泣いている姿を見るのは初めてだ。
「分かりました、ならこれで決まりですね?」
にっこり微笑み、私は改めてお父様達や今では目にするだけで全身に鳥肌が立ちそうなキング一族をぐるりと見渡した。
「私はもうこれ以上、あなた方に世界中を追いかけ回されるのはうんざりです。そこで、決めました。あなた方には一生、この島から出ないで頂くことにしました」
そしてにっこり微笑んだ。
「な、何っ!? 一生だとっ!?」
お父様が目を見開いた。
「もがーっ! もがもがもがっ!」
一方、私の『力』で口を塞がれてしまったアレックス王子は何やら激しく文句を言っているが、何を話しているのかはさっぱり分からない。
けれど恐らく、こう言っているのだろう。
「こらーっ! ふざけるなっ!」
と。
「何を言ってるんだいレベッカ。どうやって僕たちをこの島から出ないで貰うって言うんだい? もしかすると船を取り上げようとでも言うのかな? だけど、生憎僕たちは船を持っていないよ? その辺の木を切り倒して、イカダを作ることだって出来る。閉じ込めるなんて不可能だよ」
ランス王子はぺらぺらとよく口が回るものだ。
呆れた様子で私はランス王子の話を聞いていた。
「そうだよ、レベッカや。我々を閉じ込めておくのは不可能なのだよ? それよりもそんなサミュエル王子のような若造はやめて私の所へおいで? うんと可愛がってあげるよ?」
国王はいやらしい笑みを口に浮かべている。
ゾワゾワゾワッ!
その言葉と表情にますます私は総毛立つ。
「もがーっ! もがっ!」
アレックス王子が顔を真っ赤にして視線だけ動かして国王を睨みつけた。
うん、きっと「こらーっ!親父!」とでも叫んだに違いない。
「な、何だとっ!? この変態親父めっ! 貴様のような変態に大事なレベッカに手出しさせるものかっ!」
お父様の言葉は傍から聞けば、娘想いの良い父親に取れるけれども……所詮、私から見れば同じ穴のムジナだ。
<レベッカ様。さっさと方を付けてしまいましょうよ>
ドランゴンになったミラージュが声を掛けて来た。
「ええ。そうね」
そして再び、お父様達とキング一族に視線を戻すと言い放った。
「あなた方は全員私のことを追うのを諦めない限り、一生この島に閉じこもっていてもらいますっ!」
そして私の力が発動した。
力が発動したのを確認すると私は再び彼らに話しかけた。
「私は今、あなた方に『力』を使いました。これで皆さんはこの島を脱出することが不可能になりました。私を捕えに行こうとすると、身体が硬直して動かなくなりますからね?」
その言葉に彼らは目を見張った‥・・・・けれども、文句を言う者は誰もいない。
煩いので話をすることが出来ないようにしたからだ。
「どうぞ、一生この島で暮らして下さい」
すると今まで黙って様子をうかがっていたお母様が口を開いた。
「大丈夫。住めば都と言いますよ。この島で17年間暮らしていた私が言うのですから間違いなしです」
「さすがはレベッカ様のお母様ですね」
ナージャさんがパチパチと手を叩く。
「それじゃ用も済んだことだし、そろそろ行かないかい?」
セネカさんが声をかけてきた。
<お父様。行くって何処へ行くつもりですか?>
ドラゴンのミラージュが尋ねる。
「それなら、またアマゾナさんのいる村へ行ってみましょうよ。是非アマゾナさんにお母様やナージャさんにセネカさんを紹介したいの」
<いいですね。また温泉に入りたいです>
「アマゾナさんは、レベッカの大切な人なのかしら?」
お母様が尋ねてきた。
「はい、そうなんですっ! とっても良い女性なんですよ?」
<では早速参りましょう!皆さん、私の身体に乗って下さい。もうこのまま空を飛んでいきますよ!>
ミラージュの身体が更に大きく、巨大化した。
そしてそんなミラージュを恐怖の眼差しで見つめているお父様達。
ミラージュに促され、私達は全員背中に乗った。勿論ロミオとレテオも一緒だ。
<それでは……参りますよ>
ミラージュは大きな羽を羽ばたかせると、一気に空へ舞い上がった。
「まぁ! 凄い迫力ですね!」
ナージャさんは興奮している。
「みなさ~ん! もう二度と会うことはありませんが……お元気で!」
私は一度無様な姿で静止している全員に手をふると、ミラージュに声をかけた。
「ミラージュ、行ってちょうだい」
<はい!>
そしてミラージュは空高く飛び上がり……アマゾナさんのいる村へ向かって飛び始めた。
「フフ……久しぶりの空の上は気持ちがいいわね」
お母様が笑う。
「レベッカ、アマゾナのいる村へ着いたら俺たちの結婚式を挙げないかい?」
サミュエル王子が私の耳元で囁き……思わず顔が真っ赤になる。
「やっぱり旅はいいですね〜」
旅好きのナージャさんは嬉しそうだ。
「その時は今度私がドラゴンの姿になって、乗せてあげよう」
得意げに言うセネカさん。
「今度はレベッカのお爺様に会いに行ってみましょうか?」
お母様が話しかけてくる。
「いいですね。私達の旅はまだまだ続きますから!」
私は笑顔で答え……何処までも続く青い空を見つめた。
そう。私の旅は……この青い空のように、これからも続いていくのだから――
<完>