<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 2 (女盗賊アマゾナ編 7)
アマゾナが馬車で去り、広大な畑には私とミラージュのみとなった。
「ねぇ、知ってた? ミラージュ」
「どうなさいましたか? レベッカ様」
「私ね……実はモグラが苦手なのよ」
ミラージュをじっと見つめる。
「ええ、勿論存じておりましたよ?」
「えっ!? ほ、本当に!?」
「勿論です。私がレベッカ様の事で知らない事など何一つありませんよ? 始めて歩けるようになった日から、始めて言葉を話した日、そしておむつが取れた日まで……」
「キャ~ッ! わ、分ったからそれ以上言わないでっ! は、恥ずかしいっ!」
そう、私を母親代わりに育ててくれたのはミラージュなのだ。彼女は私の事なら何でも知っていて当然だ。
「レベッカ様がモグラを苦手になったきっかけはあれですよね? 7歳の時に初めて2人で畑を耕してニンジンを育てたのに、掘り起こしてみるとモグラがかぶりついていたのをみて気絶してしまったのがきっかけですよね? あの後、暫くはニンジンが食べられなくなってしまったじゃありませんか?」
「でも、今ではニンジン好きだけどね?」
流石はミラージュ。事細かに鮮明に覚えている。だけど……。
「うう……気軽にモグラ退治を引き受けてしまったけど、やっぱり不安だわ。いくら完全無敵を誇る私でも、やっぱり人間なのね。苦手なものの一つや二つ位あるなんて」
するとミラージュがドンと自分の胸を叩く。
「お任せください、レベッカ様。何の為にこの私がいると思っているのですか? モグラの100匹や200匹……この私が華麗に駆除して見せますわ」
「モグラが100匹も200匹もいたら困るけど、流石はミラージュ、頼もしいわ。それじゃモグラ駆除はミラージュにお任せしようかしら?」
「ええ、任せて下さい。レベッカ様は何処か木陰で休んでいてください。こんなものチャッチャッと終わらせてしまいますから」
ミラージュは腕まくりをすると畑へ向かってズンズン歩いて行く。
「それじゃ後は頼んだわよー」
ミラージュに大声で呼びかけると、私は何処か木陰は無いか、キョロキョロと辺りを探してみた。すると前方に丁度良いあんばいに葉を生い茂らせた大木が1本生えていた。
「あの木の下が涼しくて良さそうね……」
早速私はその木の下へ行くと、腰を下ろして遠くに立っているミラージュの様子を観察した。それにしても……。
「ミラージュったら……畑の真ん中に突っ立って何しているのかしら?」
先程からミラージュは身じろぎもせずに、畑の真ん中に立って地面を見下ろしている。そのまま私もミラージュの様子を注視していると、次の瞬間……。
いきなりミラージュはどこからともなくスコップを取り出し、10回ほど掘り起こすした。そして畑に両手をついて前かがみになると、掘った穴の中に自分の顔を突っ込んだのだ。
「ちょ、ちょとっ! ミラージュッ! 何してるのよっ!」
私は驚き、声を上げた瞬間……。
ゴゴゴゴゴ……
大地が激しく揺れ始めた。ま、まさか……ミラージュ、ひょっとして……?
すると突然畑の中から無数のモグラや虫たちが地面から空に向かって飛び出して来たのだ。それは頭上数mは高く舞い上がる。いやはや、その恐ろしい事と言ったら口では言い表せない。
「キャアアアアッ! イヤアアアッ!」
私は思わず悲鳴を上げてしまった。何故ならミラージュが土の中で放った必殺技の超音波でフッ飛ばされたモグラや虫たちが私のいる場所まで飛んできたからだ
ボタッ!
ボタッ!
ボタッ!
私の大嫌いなモグラが足元に降り注いでくる。
ボトッ!
え……?
頭の上に何か生暖かいものが落下してきた。
「ま、まさか……?」
震える手で頭に落ちてきたものに触れ……そっと掴んで確認してみると、何とそれは私の苦手なモグラだったのだ。
「キャアアアッ!! イヤアアアッ!!」
あまりの恐怖に泣き叫ぶ私。すると辺り一帯に黒雲が押し寄せ、突然あちこちで発生する小型の竜巻が畑一体を縦横無尽に走り回る。
<落ち着いて下さい! レベッカ様!>
そこへドラゴンの姿になったミラージュが私の元へと飛んでくると大きな手で身体を掴まれ、空中へと飛びあがった。
「あ……ミラージュ……」
<レベッカ様。落ち着いて、まずは深呼吸して下さい>
「わ、分ったわ……」
スーハースーハー……
うん。
心が落ち着いてきた。すると竜巻はいつの間にか消え去り、空は晴れ渡って辺りは静寂に包まれていた――
****
「うわあ……」
地面に降りった私は畑を見て驚いた。何とあれ程無数に散らばっていたモグラがきれいさっぱり消えていたのである。
<やはり、流石はレベッカ様ですね>
「え? どういう事?」
思わずミラージュを振り返った。
<つまり、レベッカ様は無意識のうちに竜巻を発生させ、モグラを巻き込んで竜巻に何処かへ運ばせたのでしょう>
「何所かって……どこへ?」
<さぁ……そこまでは私も分りません>
ミラージュは首を振る。
<ではレベッカ様。無事にモグラ駆除も済んだことですし、アマゾナさんの元へ戻りましょうか?>
「ええ。そうね!」
私はミラージュの背中に乗り、アマゾナの元へ向かった――
「ねぇ、知ってた? ミラージュ」
「どうなさいましたか? レベッカ様」
「私ね……実はモグラが苦手なのよ」
ミラージュをじっと見つめる。
「ええ、勿論存じておりましたよ?」
「えっ!? ほ、本当に!?」
「勿論です。私がレベッカ様の事で知らない事など何一つありませんよ? 始めて歩けるようになった日から、始めて言葉を話した日、そしておむつが取れた日まで……」
「キャ~ッ! わ、分ったからそれ以上言わないでっ! は、恥ずかしいっ!」
そう、私を母親代わりに育ててくれたのはミラージュなのだ。彼女は私の事なら何でも知っていて当然だ。
「レベッカ様がモグラを苦手になったきっかけはあれですよね? 7歳の時に初めて2人で畑を耕してニンジンを育てたのに、掘り起こしてみるとモグラがかぶりついていたのをみて気絶してしまったのがきっかけですよね? あの後、暫くはニンジンが食べられなくなってしまったじゃありませんか?」
「でも、今ではニンジン好きだけどね?」
流石はミラージュ。事細かに鮮明に覚えている。だけど……。
「うう……気軽にモグラ退治を引き受けてしまったけど、やっぱり不安だわ。いくら完全無敵を誇る私でも、やっぱり人間なのね。苦手なものの一つや二つ位あるなんて」
するとミラージュがドンと自分の胸を叩く。
「お任せください、レベッカ様。何の為にこの私がいると思っているのですか? モグラの100匹や200匹……この私が華麗に駆除して見せますわ」
「モグラが100匹も200匹もいたら困るけど、流石はミラージュ、頼もしいわ。それじゃモグラ駆除はミラージュにお任せしようかしら?」
「ええ、任せて下さい。レベッカ様は何処か木陰で休んでいてください。こんなものチャッチャッと終わらせてしまいますから」
ミラージュは腕まくりをすると畑へ向かってズンズン歩いて行く。
「それじゃ後は頼んだわよー」
ミラージュに大声で呼びかけると、私は何処か木陰は無いか、キョロキョロと辺りを探してみた。すると前方に丁度良いあんばいに葉を生い茂らせた大木が1本生えていた。
「あの木の下が涼しくて良さそうね……」
早速私はその木の下へ行くと、腰を下ろして遠くに立っているミラージュの様子を観察した。それにしても……。
「ミラージュったら……畑の真ん中に突っ立って何しているのかしら?」
先程からミラージュは身じろぎもせずに、畑の真ん中に立って地面を見下ろしている。そのまま私もミラージュの様子を注視していると、次の瞬間……。
いきなりミラージュはどこからともなくスコップを取り出し、10回ほど掘り起こすした。そして畑に両手をついて前かがみになると、掘った穴の中に自分の顔を突っ込んだのだ。
「ちょ、ちょとっ! ミラージュッ! 何してるのよっ!」
私は驚き、声を上げた瞬間……。
ゴゴゴゴゴ……
大地が激しく揺れ始めた。ま、まさか……ミラージュ、ひょっとして……?
すると突然畑の中から無数のモグラや虫たちが地面から空に向かって飛び出して来たのだ。それは頭上数mは高く舞い上がる。いやはや、その恐ろしい事と言ったら口では言い表せない。
「キャアアアアッ! イヤアアアッ!」
私は思わず悲鳴を上げてしまった。何故ならミラージュが土の中で放った必殺技の超音波でフッ飛ばされたモグラや虫たちが私のいる場所まで飛んできたからだ
ボタッ!
ボタッ!
ボタッ!
私の大嫌いなモグラが足元に降り注いでくる。
ボトッ!
え……?
頭の上に何か生暖かいものが落下してきた。
「ま、まさか……?」
震える手で頭に落ちてきたものに触れ……そっと掴んで確認してみると、何とそれは私の苦手なモグラだったのだ。
「キャアアアッ!! イヤアアアッ!!」
あまりの恐怖に泣き叫ぶ私。すると辺り一帯に黒雲が押し寄せ、突然あちこちで発生する小型の竜巻が畑一体を縦横無尽に走り回る。
<落ち着いて下さい! レベッカ様!>
そこへドラゴンの姿になったミラージュが私の元へと飛んでくると大きな手で身体を掴まれ、空中へと飛びあがった。
「あ……ミラージュ……」
<レベッカ様。落ち着いて、まずは深呼吸して下さい>
「わ、分ったわ……」
スーハースーハー……
うん。
心が落ち着いてきた。すると竜巻はいつの間にか消え去り、空は晴れ渡って辺りは静寂に包まれていた――
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「うわあ……」
地面に降りった私は畑を見て驚いた。何とあれ程無数に散らばっていたモグラがきれいさっぱり消えていたのである。
<やはり、流石はレベッカ様ですね>
「え? どういう事?」
思わずミラージュを振り返った。
<つまり、レベッカ様は無意識のうちに竜巻を発生させ、モグラを巻き込んで竜巻に何処かへ運ばせたのでしょう>
「何所かって……どこへ?」
<さぁ……そこまでは私も分りません>
ミラージュは首を振る。
<ではレベッカ様。無事にモグラ駆除も済んだことですし、アマゾナさんの元へ戻りましょうか?>
「ええ。そうね!」
私はミラージュの背中に乗り、アマゾナの元へ向かった――