<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 3 (ノマード王国の旅 3)
「あ〜駄目駄目! 流石に馬2頭に馬車1台も乗せてくれなんて無理だよ!」
声をかけ始めて5人目……またして西の大陸行きの船を船長に断られてしまった――
「全く悔しいですわ! こんなに頭を下げてこちらが頼んでいるというのに……!」
ミラージュがプンプン怒りながら私達の先頭を歩いている。
「全くだ。皆話が分からなくて困る。やはり我らの身なりが貧しいからなのだろうか……?」
サミュエル王子は自分の着ている服を見てため息をつく。う〜ん、でもどうなのだろう? やはり馬2頭と馬車1台というのはかなり先方にしてみれば無理があるかもしれない。
「やはりこうなれば最終手段。こんな卑怯な手は使いたくは無かったが……やむを得まい」
サミュエル王子がぶつぶつと呟いている。
「サミュエル王子、何か妙案でも思いついたのですか?」
桟橋をサミュエル王子と並んで歩きながら私は尋ねてみた。
「妙案というか……ある方法を思い付いたんだよ。本当はこんな手を使いたくは無かったんだけどね」
サミュエル王子は妙に勿体つけた言い方をする。
「まあ、どんな方法ですの?」
ミラージュが興味深げにサミュエル王子の隣に来ると尋ねた。
「これは俺にしか使えない方法だ。よし、まずは貴族の船を探そう!」
「え……? 貴族の船ですか?」
「民間の船をあたってみても今まで全て断られただろう? やはりそのような船は大勢客も荷物も乗せるから、流石に馬や馬車なんて断られても当然だ。だから貴族が所有している船を探して、西の大陸を目指す船があればそれに乗せてもらおうと言うわけだ」
「でも……」
「ええ、ですわね……」
サミュエル王子の話に私とミラージュが顔を見合わせる。
「な、何だい? 2人とも。何か問題でもあるのか?」
「問題だらけですわ」
ミラージュがズバリと言う。
「ええ、問題しかありませんね」
私も頷く。
「だから何が問題なんだ? 説明してくれ」
「なら、言いますが……この港に果たして貴族の船が寄港しているのでしょうか?」
私が言う。
「うぐっ!」
サミュエル王子が頭に手をやる。
「それに仮に貴族の船が来ていたとして、西の大陸を目指すと思いますか?」
ミラージュが続く。
「ぐはっ!」
次に胸に手を押し当てた。サミュエル王子はハアハア言いながらも何とか大勢を立て直したようだ。
「な、何……。これだけ大きい港なのだ。恐らく、たまたま西の大陸を目指す貴族の船があると思わないか?」
「さあ……?」
「微妙ですね……」
私とミラージュが交互に首を振る。
「ま、まあいい! 兎に角貴族の船を探そう! 2人とも、俺についてきてくれ!」
サミュエル王子が今度は先頭に立って歩き出した。その後ろを付いて歩きながら私は尋ねた。
「ところでサミュエル王子、貴族の船と民間の船の違いが分からないのですけど」
「何、大丈夫。貴族の船と民間の船には決定的な違いがある。貴族の船には船体や帆の部分に家紋が描かれている。民間の船には船体や帆は無地だ。まあ、たまにその会社の名前やマークが書かれていることもあるけどね。だからまずは港を歩いて帆の部分に家紋が描かれているか見て回ろう」
「なるほど、それなら分かりやすいですね」
ミラージュが納得したかのように頷いた。
こうして私達の貴族の船探しが始まったが、私には一抹の不安があった。
果たして、仮に貴族の船が私達を乗せてくれるのだろうか――
声をかけ始めて5人目……またして西の大陸行きの船を船長に断られてしまった――
「全く悔しいですわ! こんなに頭を下げてこちらが頼んでいるというのに……!」
ミラージュがプンプン怒りながら私達の先頭を歩いている。
「全くだ。皆話が分からなくて困る。やはり我らの身なりが貧しいからなのだろうか……?」
サミュエル王子は自分の着ている服を見てため息をつく。う〜ん、でもどうなのだろう? やはり馬2頭と馬車1台というのはかなり先方にしてみれば無理があるかもしれない。
「やはりこうなれば最終手段。こんな卑怯な手は使いたくは無かったが……やむを得まい」
サミュエル王子がぶつぶつと呟いている。
「サミュエル王子、何か妙案でも思いついたのですか?」
桟橋をサミュエル王子と並んで歩きながら私は尋ねてみた。
「妙案というか……ある方法を思い付いたんだよ。本当はこんな手を使いたくは無かったんだけどね」
サミュエル王子は妙に勿体つけた言い方をする。
「まあ、どんな方法ですの?」
ミラージュが興味深げにサミュエル王子の隣に来ると尋ねた。
「これは俺にしか使えない方法だ。よし、まずは貴族の船を探そう!」
「え……? 貴族の船ですか?」
「民間の船をあたってみても今まで全て断られただろう? やはりそのような船は大勢客も荷物も乗せるから、流石に馬や馬車なんて断られても当然だ。だから貴族が所有している船を探して、西の大陸を目指す船があればそれに乗せてもらおうと言うわけだ」
「でも……」
「ええ、ですわね……」
サミュエル王子の話に私とミラージュが顔を見合わせる。
「な、何だい? 2人とも。何か問題でもあるのか?」
「問題だらけですわ」
ミラージュがズバリと言う。
「ええ、問題しかありませんね」
私も頷く。
「だから何が問題なんだ? 説明してくれ」
「なら、言いますが……この港に果たして貴族の船が寄港しているのでしょうか?」
私が言う。
「うぐっ!」
サミュエル王子が頭に手をやる。
「それに仮に貴族の船が来ていたとして、西の大陸を目指すと思いますか?」
ミラージュが続く。
「ぐはっ!」
次に胸に手を押し当てた。サミュエル王子はハアハア言いながらも何とか大勢を立て直したようだ。
「な、何……。これだけ大きい港なのだ。恐らく、たまたま西の大陸を目指す貴族の船があると思わないか?」
「さあ……?」
「微妙ですね……」
私とミラージュが交互に首を振る。
「ま、まあいい! 兎に角貴族の船を探そう! 2人とも、俺についてきてくれ!」
サミュエル王子が今度は先頭に立って歩き出した。その後ろを付いて歩きながら私は尋ねた。
「ところでサミュエル王子、貴族の船と民間の船の違いが分からないのですけど」
「何、大丈夫。貴族の船と民間の船には決定的な違いがある。貴族の船には船体や帆の部分に家紋が描かれている。民間の船には船体や帆は無地だ。まあ、たまにその会社の名前やマークが書かれていることもあるけどね。だからまずは港を歩いて帆の部分に家紋が描かれているか見て回ろう」
「なるほど、それなら分かりやすいですね」
ミラージュが納得したかのように頷いた。
こうして私達の貴族の船探しが始まったが、私には一抹の不安があった。
果たして、仮に貴族の船が私達を乗せてくれるのだろうか――