<外伝>政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
レベッカ一行の世界漫遊の旅 3 (ノマード王国の旅 29)
――カランカラン
酒場のドアを開けて、私達はナージャさんとの待ち合わせの酒場へとやってきた。店の中は結構な人で賑わっておリ、中でもカウンター席には人だかりが出来ていた。
「あら? ナージャさんが見当たらないわね?」
私は店内をキョロキョロ見渡した。
「ええ、そうですわね。確かに待ち合わせ場所はこの酒場でまちがいないはずですのに」
「そうだ! ミラージュ! 君はドラゴンで鼻が利くだろう? 彼女の匂いは感じないかい?」
「サミュエル王子、私は犬ではありませんわよ? 大体、様々な食べ物と飲み物、それに汗臭い体臭が入り混じっているのでナージャさんの匂いなどかき消されてしまいますわ」
「「うっ……」」
私とサミュエル王子はミラージュの言葉に気分が悪くなり、胸を押さえてしまった。知らなかった……ミラージュがそこまで匂いに苦しめられているとは思わなかった。
「あら? どうされましたか?」
「ミラージュ……」
「君は苦労していたんだな……」
私とサミュエル王子はミラージュの肩に手を置いて頷きあったその時、カウンターでざわめきが起こった。
「おおっ! すっげー!」
「当たってるよ! 姉ちゃん!」
「流石占い師だな!」
「え? 占い師?」
私はカウンターの方を見た。相変わらず人だかりだが、先程よりも人々が興奮している。
「ひょっとしてあの人だかりの中にナージャがいるんじゃないかい?」
サミュエル王子の言葉にミラージュが頷く。
「ええ、間違いなさそうですわね」
「ひょっとして占ってあげているのかしら?」
「よし、あの人だかりの場所へ行ってみよう」
3人で人だかりが出来ているカウンターへ向かった。
すると……。
「さぁ! 次は誰が占って貰いたいのかしら? 今ならおおまけにまけて、占い1人につき、銅貨5枚で占ってあげるわよ!」
ナージャさんはテーブルの上に水晶玉を置いて、ワインを飲んでいる。
「うわっ! また飲んでるわ!」
人混みに紛れながらナージャさんの様子を観察しながら、驚いてしまった。こっちはもう今日はお酒は勘弁してほしいくらいなのに。
「彼女は完全な酒豪だな、間違いない」
サミュエル王子は妙に感心している。
「ナージャさんは恐らく身体の半分はアルコールで出来ているのでしょうね」
ミラージュは納得したかのように頷いている。
二人の会話を聞きながら思った。
ひょっとするとナージャさんはこれから路銀を稼いでくれるのではないだろうか……?
****
それから約1時間後――
「フフフ……いや〜儲かりましたよ、皆さん」
麻袋に銅貨をジャラジャラさせながらナージャさんが嬉しそうに私達のテーブル席へとやってきた。
「え? ひょっとして私達がここにいること、気がついていたの?」
早めの夕食を食べていた私達の元へナージャさんがやってきた。
「あら? お食事中でしたか? 美味しそうですね?」
ナージャさんが羨ましそうにテーブルの上に乗ったオードブル料理を見つめる。
「勿論、ナージャ。君の分だってちゃんとあるからね」
サミュエル王子に言われて、にっこり笑いながらナージャさんは空いている席に座ると朝袋をドンとテーブルの上に置いた。
「皆さん。たった2時間で銀貨5枚分の稼ぎはありましたよ! 今夜はここで飲み明かしましょう!」
当然私達の返事は……。
「「「却下!」」」
だった――
酒場のドアを開けて、私達はナージャさんとの待ち合わせの酒場へとやってきた。店の中は結構な人で賑わっておリ、中でもカウンター席には人だかりが出来ていた。
「あら? ナージャさんが見当たらないわね?」
私は店内をキョロキョロ見渡した。
「ええ、そうですわね。確かに待ち合わせ場所はこの酒場でまちがいないはずですのに」
「そうだ! ミラージュ! 君はドラゴンで鼻が利くだろう? 彼女の匂いは感じないかい?」
「サミュエル王子、私は犬ではありませんわよ? 大体、様々な食べ物と飲み物、それに汗臭い体臭が入り混じっているのでナージャさんの匂いなどかき消されてしまいますわ」
「「うっ……」」
私とサミュエル王子はミラージュの言葉に気分が悪くなり、胸を押さえてしまった。知らなかった……ミラージュがそこまで匂いに苦しめられているとは思わなかった。
「あら? どうされましたか?」
「ミラージュ……」
「君は苦労していたんだな……」
私とサミュエル王子はミラージュの肩に手を置いて頷きあったその時、カウンターでざわめきが起こった。
「おおっ! すっげー!」
「当たってるよ! 姉ちゃん!」
「流石占い師だな!」
「え? 占い師?」
私はカウンターの方を見た。相変わらず人だかりだが、先程よりも人々が興奮している。
「ひょっとしてあの人だかりの中にナージャがいるんじゃないかい?」
サミュエル王子の言葉にミラージュが頷く。
「ええ、間違いなさそうですわね」
「ひょっとして占ってあげているのかしら?」
「よし、あの人だかりの場所へ行ってみよう」
3人で人だかりが出来ているカウンターへ向かった。
すると……。
「さぁ! 次は誰が占って貰いたいのかしら? 今ならおおまけにまけて、占い1人につき、銅貨5枚で占ってあげるわよ!」
ナージャさんはテーブルの上に水晶玉を置いて、ワインを飲んでいる。
「うわっ! また飲んでるわ!」
人混みに紛れながらナージャさんの様子を観察しながら、驚いてしまった。こっちはもう今日はお酒は勘弁してほしいくらいなのに。
「彼女は完全な酒豪だな、間違いない」
サミュエル王子は妙に感心している。
「ナージャさんは恐らく身体の半分はアルコールで出来ているのでしょうね」
ミラージュは納得したかのように頷いている。
二人の会話を聞きながら思った。
ひょっとするとナージャさんはこれから路銀を稼いでくれるのではないだろうか……?
****
それから約1時間後――
「フフフ……いや〜儲かりましたよ、皆さん」
麻袋に銅貨をジャラジャラさせながらナージャさんが嬉しそうに私達のテーブル席へとやってきた。
「え? ひょっとして私達がここにいること、気がついていたの?」
早めの夕食を食べていた私達の元へナージャさんがやってきた。
「あら? お食事中でしたか? 美味しそうですね?」
ナージャさんが羨ましそうにテーブルの上に乗ったオードブル料理を見つめる。
「勿論、ナージャ。君の分だってちゃんとあるからね」
サミュエル王子に言われて、にっこり笑いながらナージャさんは空いている席に座ると朝袋をドンとテーブルの上に置いた。
「皆さん。たった2時間で銀貨5枚分の稼ぎはありましたよ! 今夜はここで飲み明かしましょう!」
当然私達の返事は……。
「「「却下!」」」
だった――