魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
「なに、そのアニメのプリンセスみたいな出会い方! 運命的!」
「いや、出会ったとは言ってもあの瞬間だけで、もう会うことはないだろうから」

 なにかを期待しているような妹を軽く笑って宥めた時、ディランさんがどこかに目を向け、「Oh~、誠一!」とテンション高く誰かの名前を呼んだ。私たちもつられてそちらを見やる。

「It's been a while! Good to see you again.(久しぶり! 会えて嬉しいよ)」
「Yeah. How have you been?(本当にな。元気だったか?)」

 彼の感激したような声に続いてネイティブな英語を返す男性も、嬉しそうに表情をほころばせてディランさんの肩を抱く。

 会話だけ聞いてディランさんと同じカナダ人かと思った私は、顔を見て驚愕した。目鼻立ちがとても整った、芸能人かと思うほどご尊顔の彼は、先ほど助けてくれた男性だったのだから。

「お、王子様……」

 つい口からぽつりとこぼれた。まさか、彼はディランさんの友人だったの!?

 さっきはしっかり見る余裕がなかったけれど、高級そうなフォーマルなスーツも完璧に着こなしていて、確かに参列者だとわかる。

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