魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
　インタビューに書いてあったのも、やっぱり誠一さんのことなんじゃないだろうか。本当にパイロットとしての憧れを持っているだけ？　 特別な感情を抱いていたら困ってしまう。

　勝手に疑って不安になっている自分にも戸惑う。平静を装って「ありがとうございます。誠一さんもきっと喜びます」と返したけれど、顔が引きつっていなかっただろうか。

　このまま話していたら笑顔がうまく作れなくなりそうだと懸念していると、妃さんも雑談している余裕はないと気づいたらしい。

「すみません、お忙しいところ引き留めてしまって」
「いえ、こちらこそ！　イベント頑張ってください」

　切り上げられてよかったと内心ほっとしたものの、彼女は少し迷うような素振りを見せつつ口を開く。

「私がこんなこと言うのはおかしいですけど……これからも、キャプテンを支えてあげてください」

　最後に切実そうにお願いした彼女は、軽く頭を下げてブースへと戻っていく。周囲の女性陣が、「女の人？」「イケメン～」と言いながら見惚れて目で追う中、私は表情を強張らせて佇んでいた。

　妃さんは別に変なことは言っていない。なのに、彼女の発言がすべて気になってしまう。誠一さんのことを私よりも理解しているように感じて……。

　自分の中で、なにかがじりじりと焼き焦げていくような感覚が強くなっていた。


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