魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
 意味を理解して、これでもかというほど目を見開いた。反射的に身体を離してぱっと見上げると、制帽の下にはいつもより甘さの増した笑みがある。

「俺は君を喜ばせたいし、嬉しそうにする姿を見るだけで幸せな気持ちになる。些細なことで不安にもなるし、逆に勇気づけられたりもする。それは全部、君が愛しいからだ。芽衣子も同じなんだろ?」

 彼の言葉がとてもしっくりきて、ストンと胸に落ちた。上がったり下がったり、いろんな感情に振り回されるのはすべて愛のせい。誠一さんも同じだったんだ。

 両想いなのだとわかった瞬間、ぶわっと一気に顔が熱くなった。

 夢じゃないよね? 初恋が実るなんて、こんな奇跡みたいなことがあるんだ……。

 悶えたくなるほど感激するも、周囲からの冷やかすような声と好奇の視線にようやく気づいてはっとした。羞恥心が急激に膨れ、足を一歩引いて沸騰しそうな顔を俯かせる。

「誠一さん……ダメですよ、人様の面前でこんなことしてちゃ」
「問題ない。俺はもうパイロットじゃないからな」
「まだですよね?」

 デブリーフィングが終わるまでは一応パイロットでしょうと即座にツッコむと、彼は「確かに」と言ってへらりと笑った。そして私から花束を受け取り、耳元に顔を近づける。

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