魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
 彼は誠一さんのやり方が納得できないらしく、鼻で笑って吐き捨てた。

 私は経営のことはなにもわからないけれど、誠一さんのやり方は間違っていないと思う。成果を上げている人にはそれ相応の報酬を与えるべきだろうし、逆に役職者というだけで高い給料をもらっているような人がいるとしたら、その分は無駄だと判断されても仕方ない。

 誠一さんは、自分が気に入らないという理由で誰かを排除したりなんてしない。そう信じているけれど、私が楯突いたら彼の立場も悪くなってしまいそうで黙るしかなく、下唇を噛む。

 対抗するようにキッと睨むも、山中さんは笑みを消して軽蔑の目で見下ろしてくる。

「元はと言えば、益子がバカなことするからこんな事態になってるんだ。私たちが苦労してるのは、君のお父さんのせいなんだよ。そんなろくでなしの娘を妻にしてるなんて、誠一くんも危機感がないよねぇ。〝妻の父親だから黙認していたんじゃないか〟なんて疑惑まで持たれてるっていうのに」

 嘘……そんなことまで言われているの? それじゃ誠一さんの信用問題に関わってしまうじゃない。

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