魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
「連絡取ってないんですよね。居場所はわかったんですか?」
「ああ。彼女の妹と、その旦那から聞き出したよ」

 芽衣子は家を出ていってから、俺が連絡をしても一切反応しない。清掃員の仕事も辞めてしまい、彼女と親しい郁代さんという女性にコンタクトを取ってみても、口止めされているようで頑なに教えてもらえなかった。

 空港で働くのを辞めるほど俺に会いたくないのか?と考えるとかなりショックだったが、徹底しているのは彼女らしいかもしれない。独り身になった彼女がどうするかは自由だしな。

 唯一の救いは、梨衣子さんとディランが結婚していることだ。梨衣子さんにはすべて話しているはずなので、ディランに連絡を取れば居場所はすぐにわかると思ったから。

 離婚した当初、電話で俺の話を聞いたディランは、とても深刻そうに心配していた。『誠一の気持ちは察するにアマリリスよ。芽衣子サンに捨てられちゃったなんてネ……』と、間違った日本語で煽られているような気がしないでもなかったが。

 しばらくは彼伝いに芽衣子の様子を聞き、元気でいるかどうかを確認できるだけでほっとしていた。

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