魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
 そんな彼と私は親密な仲なのではないか、と誠一さんは誤解しそうになったらしいが、私は逆に妃さんとの関係を疑ってしまったので反省している。彼女とは偶然会っただけで、抱き合っているように見えたのも腕を引かれて体勢を崩した瞬間だったらしい。

「妃さん、やっぱり誠一さんのことが好きだったんですね……」

 隣の部屋で恵茉を寝かせた後、リビングのラグマットに寄り添って座り、詳しい話を聞いた私は控えめな声で呟いた。

 ずっと前からそうなのではと思っていたけれど、今日ちゃんと告白されて、誠一さんはしっかりお断りしたようだ。

「俺が新しい道に進んでいるって、君に嘘をついたことを反省していたよ。俺がもう芽衣子のことが吹っ切れているように思わせたかったらしい」
「そうだったんだ……。妃さんって嫉妬やライバル心をあまり出さない人だから、嘘だとは思いませんでした」

 きっと私を妬ましく思っただろうに、嫌な態度を取られた時はなかった。クールで真面目な性格の彼女だから、なんとか普通に接しようと気を遣っていたのだろう。

< 201 / 212 >

この作品をシェア

pagetop