魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
「私も誓います。二度と誠一さんに寂しい思いはさせません」

 温かな手を取り、潤む瞳をまっすぐ向けて宣言する。彼はふっと口元を緩め、「どっちがプロポーズかわからないな」と嬉しそうに笑った。

 そして彼は、ポケットからなにかを取り出し、私の左手を取る。薬指に滑らされるのは、あの日置いていった結婚指輪だ。一年足らずで役目を終えたと思っていたそれは、今も変わらない輝きを放っている。

「俺を待っていてくれて、恵茉を生んでくれてありがとう。皆で幸せになろうな」

 誠一さんの言葉に感慨深くなりながら、ぴたりと嵌まった指輪から彼へと目線を移してしっかり頷く。

「はい、必ず。誠一さんも、迎えに来てくれてありがとうございます。大好きです」

 満面の笑顔で告白すると、彼は照れたように笑って私を抱きしめた。そして「俺も愛してる」と惜しみなく囁き、唇を寄せ合う。

 ものすごく遠回りしてしまったけれど、ようやく本当の夫婦になれたのだ。もうなにがあってもこの幸せは手放さないと、甘く優しい体温を感じながら心に誓った。


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