魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
 そうして、再び誠一さんの家に引っ越したのは、再会して一カ月ほど経った四月の中頃。

 その間にご両親にも会いに行き、婚姻届も提出した。私と誠一さん、両方の言い分を聞いていたお義母様は『やっと戻ってきてくれたわね』と安堵した様子で、お義父様は恵茉にメロメロになっていた。私を咎めたりしないふたりには本当に頭が上がらない。

 ついに家族三人で暮らし始め、私たちは新鮮でとても幸せな日々を過ごしている。ゴールデンウィークに入った今日は、郊外の動物園に行ってきたところだ。

 予想通りかなり混雑していたが、こんなに大きな動物園に来たことがない恵茉は、初めて見る動物たちに興奮してとても楽しそうだった。

 アルパカと触れ合えるコーナーでは「もふーもふー!」と喜んでいて、動物の被り物もあったので被らせてみると、その可愛さに私たちが悶絶した。

 こういう場所にひとりでは連れていってあげられなかったし、写真も撮る余裕があまりなかったから、父親がいるのは大事だとつくづく感じる。これから三人でいろんなところに行きたいな。

 帰りの車内、チャイルドシートに座っている恵茉は、パパに買ってもらった大きめのアライグマのぬいぐるみをしっかり抱っこして眠ってしまった。誠一さんはミラーをちらちらと見ては頬を緩めている。

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