魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
「ダメ、誠一さ……待って」
「やめないよ。ずっと君を、こうやって抱き潰したかったんだから」

 余裕の笑みの中に猛々しさをかいま見せる彼は、私の腰を浮かせてより深いところを突いてきた。思わず上ずった声をあげる私を、セクシーで挑発的な視線が捉える。

「本当は好きだろ、芽衣子も。ぐちゃぐちゃに愛されるの」
「んんっ」

 ベッドでの誠一さんは、やっぱり少し意地悪だ。でもSっ気を感じさせる彼も、ゾクゾクする魅力があってたまらない。

 彼の言う通り、容赦なく攻められるのもそれだけ求められているのだと実感できるから好き。だけど、それより……。

「誠一さんだから、好きなの。誠一さんじゃなきゃ嫌──んぅっ」

 息を乱しながら夢中で訴えていると、唇を塞がれて呼吸が止まりそうになった。

 濡れた音をたてて舌を絡ませ、つうっと糸を引いて唇が離されると、とても愛しそうな微笑みが目の前にある。

「君が独占欲を抱いてくれて嬉しい。俺も大好きだ、芽衣子」

 甘い甘いシロップにどっぷり浸かって、溺れそうなほどの幸福に包まれる。彼をひとり占めできる優越感に浸りながら、彼の首に抱きついた。

 時間の許す限り、お互いの愛を貪り合う。一時だけ母親であることを忘れて、彼に愛されるたったひとりの女になった。


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