航空王はママとベビーを甘い執着愛で囲い込む【大富豪シリーズ】
シンデレラは涙する
カナダ西部にあるブリティッシュコロンビア州の最大都市、バンクーバーの四月の風景は少し日本と似ている。気温は東京よりもやや低いが、空港から有名な観光スポットであるスタンレーパークに向かう間、たくさんの桜が咲いていた。
海沿いの遊歩道からは、港の向こうに立ち並ぶビルとそびえ立つ雪が残る山々が一望でき、そこに桜が合わさってさらに絶景だ。
しかし今、私はその景色を堪能する余裕などない。これから大事な大事な妹の結婚式なのに、目的のバス停を間違えてひとつ前で降りてしまい、いまだに式を行うガーデンにたどり着けていないから。
ここスタンレーパークは広大な自然公園で、美しいビーチや水族館などがあり、パーク内にバスが走っているほどだ。自分の足で向かうとなると結構な時間がかかる上に、パンプスだから走りにくい。
ドレスアップした姿で疾走する姿は、外国人にかなり注目されているけれど構っていられない。
式が始まってしまったらどうしよう!?と焦っていたものの、なんとか会場のすぐ近くのバス停を発見した。
よかった……! ここまで来れば安心だ。肩で息をしながら安堵して一度足を止め、時間も間に合うことを確認して再び歩き出そうとした、その時だ。