魅惑の航空王は最愛の元妻を取り戻したい
遠慮する気持ちはなくならないけれど、確かに奇跡のような再会をしたのにこのまま終わりにするのはとてももったいない。羽澄さんが誘ってくれているのに断るのも、それはそれで悪い気がするし。
「……わかりました。待ってます」
少しだけ逡巡したのち意を決して答えると、彼はどこか満足げに微笑み、「じゃあ、またあとで」とひと言残して足を踏み出した。
黒いスーツケースを引っ張り、長い脚で颯爽とチェックインカウンターのそばにあるオフィスへ向かう彼を、胸のドキドキが止まないまま見送る。
フロアにいる人たちが皆彼を目で追っているのがわかる。パイロットというだけでなくあの容姿なのだから、目を引くのは当然だろう。普通なら絶対に手の届かない人なのに、まさか食事をすることになるなんて。
「いつの間にか徳を積んでたのか……」
後ろ姿を眺めたまま、ぽつりと呟く。まだ続いている奇跡のような出来事は、きっとこれまで頑張ってきたご褒美なのだと思うことにした。
再び椅子に腰を下ろしてしばらく待ち、ようやく心臓の鼓動が平常な速さに戻った頃、私服姿の羽澄さんが現れた。ノーカラーカーディガンに無地のシャツを合わせたシンプルなスタイルなのに、モデル雑誌から飛び出してきたかのよう。
「……わかりました。待ってます」
少しだけ逡巡したのち意を決して答えると、彼はどこか満足げに微笑み、「じゃあ、またあとで」とひと言残して足を踏み出した。
黒いスーツケースを引っ張り、長い脚で颯爽とチェックインカウンターのそばにあるオフィスへ向かう彼を、胸のドキドキが止まないまま見送る。
フロアにいる人たちが皆彼を目で追っているのがわかる。パイロットというだけでなくあの容姿なのだから、目を引くのは当然だろう。普通なら絶対に手の届かない人なのに、まさか食事をすることになるなんて。
「いつの間にか徳を積んでたのか……」
後ろ姿を眺めたまま、ぽつりと呟く。まだ続いている奇跡のような出来事は、きっとこれまで頑張ってきたご褒美なのだと思うことにした。
再び椅子に腰を下ろしてしばらく待ち、ようやく心臓の鼓動が平常な速さに戻った頃、私服姿の羽澄さんが現れた。ノーカラーカーディガンに無地のシャツを合わせたシンプルなスタイルなのに、モデル雑誌から飛び出してきたかのよう。