航空王はママとベビーを甘い執着愛で囲い込む【大富豪シリーズ】
結婚してから金銭的に余裕ができたので、時々お店でご飯を食べるようになった。最初はやっぱり遠慮していたものの、誠一さんが『家計は同じなんだし好きに使えばいい。君が浪費家じゃないのは十分わかっているから』と言ってくれたのもあって。
今では気分転換できるし、メニューの勉強にもなるし、たまには外食するのも必要だなと思っている。
着替えてから郁代さんと一緒にフロアへ出たところで、彼女に電話がかかってきたので手持ち無沙汰でしばし待つ。
その時、そばを通りかかった六十代くらいの女性が、荷物を落としてバッグの中身が飛び出してしまった。慌てて私もそれらを拾う。
「大丈夫ですか?」
「ええ、ごめんなさいね。ありがとう。チケットを出そうとしたら手が滑っちゃって」
恥ずかしそうに笑うご婦人、品があって可愛らしい人だ。彼女は荷物を持って体勢を戻すと、もう一度お礼を言って私にチケットを見せてくる。
「私、飛行機に乗るのが初めてなの。この便なんだけど、出発ロビーはこっちで合ってるのかしら?」
「あ、はい! 国内線でしたら──」
「出発ロビーですか?」
場所を教えようとした時、誰かが私たちに話しかけてきた。
ぱっと顔を上げて目に映ったのは、制帽を被ったパイロット。肩章に三本線が入っているので副操縦士だとわかる。
今では気分転換できるし、メニューの勉強にもなるし、たまには外食するのも必要だなと思っている。
着替えてから郁代さんと一緒にフロアへ出たところで、彼女に電話がかかってきたので手持ち無沙汰でしばし待つ。
その時、そばを通りかかった六十代くらいの女性が、荷物を落としてバッグの中身が飛び出してしまった。慌てて私もそれらを拾う。
「大丈夫ですか?」
「ええ、ごめんなさいね。ありがとう。チケットを出そうとしたら手が滑っちゃって」
恥ずかしそうに笑うご婦人、品があって可愛らしい人だ。彼女は荷物を持って体勢を戻すと、もう一度お礼を言って私にチケットを見せてくる。
「私、飛行機に乗るのが初めてなの。この便なんだけど、出発ロビーはこっちで合ってるのかしら?」
「あ、はい! 国内線でしたら──」
「出発ロビーですか?」
場所を教えようとした時、誰かが私たちに話しかけてきた。
ぱっと顔を上げて目に映ったのは、制帽を被ったパイロット。肩章に三本線が入っているので副操縦士だとわかる。